その他の人たちのほとんどは、買って来たお惣菜が食卓に並んでいるか、料理といってもレトルトばかりだったので、母親が台所にいる姿で覚えているのは、レトルトの袋を電子レンジや湯の中に入れて温めている姿しかない。惣菜パックが数個、そのまま食卓に並ぶことが多々あったという人もいれば、とりあえずは皿に移して目の前に出されたという家庭もあった。
「お惣菜を皿に移したと聞いただけで、親がちゃんとしていると錯覚を起こすようになった」
私にこの話をしてくれた知人は苦笑していたが、私の想像よりもはるかに家庭の食の現状は崩壊していた。
惣菜を買うのも、コンビニで食物を買うのも、カップ麺を食べるのもたまには悪くはない。ただそれらの食材に含まれる成分から、常食するのは避けたほうがいいと思っている。どうしても味が濃く、糖分、塩分が多めで、名前を聞いたことがない、片仮名のわけのわからないものがずらずらと列記されている。手に取っても裏の表示を見ると、とても買う気にならずに元に戻してしまう。それらが体の中に入るのを考えると、どうしても躊躇してしまうのだ。
私のようなおばちゃんや、大人ならまだしも、成長期の子供の食生活に関して、親が無関心なのは大きな問題だ。私も基本的には料理を作るのが苦手で嫌いなので、いやだという人の気持ちはよくわかる。しかし自分で作って自分で食べる私の場合は、食べ物で体調を崩しても自業自得だが、子供がいる場合はそうはいかない。成長過程にある子供に対しては、親が彼らのために料理をする行為を、好きとかきらいとかいってはいけないと思う。基本的にやらなくてはいけないことなのだ。せめて高校に入学するまでは、家で食べる子供の食事のバランスを考えるのは、親の責任なのではないだろうか。