ヨーロッパではパブリックビューイングを中止するなどの動きが広がり、巨額のスポンサー契約でカタール親善大使に就任した元イングランド代表のデービッド・ベッカムさんへの批判も高まりました。
一方、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「サッカー以外のことで問題視するのは好ましくない」と発言。解説が人気を集めた元日本代表の本田圭佑さんや内田篤人さんも、今大会が抱えている問題には一切コメントしませんでした。なにも政治的な話題ではないのです。その一歩手前の「人権を守ろう」「地球を大切に」というのはスポーツの前提ですから、影響力ある人たちにも声を上げてもらいたかったですね。
私はスポーツ嫌いのひねくれ者ではありません。高校までサッカー部でしたし、野球など他のスポーツもよく観ます。スポーツが好きだからこそ、誰もがいつでも楽しめるものであってほしいと願っています。W杯や五輪を商業主義から救い、スポーツ本来の精神の下にある持続可能なイベントへ。今がスポーツの脱成長への転換点です。
(編集部・古田真梨子)
※AERA 2022年12月26日号