●意思の力では変わらない自律神経コントロールは行動から
「日中は、仕事や家事などを精力的にこなすことで、交感神経のスイッチがオンになります。また、とにかくちょこまかと体を動かすこと。日常的に、移動にはタクシーではなく徒歩、エスカレーターではなく階段を使うなど、小さなことでもアクティブに動くように心がけてください」
「逆に夜は、しっかりと副交感神経の働きを高めてリラックスする。そのためにいちばん効果的な習慣は入浴です。熱過ぎるお湯はNGで、ぬるめの38~40℃のお風呂に10~15分つかるのがベスト。副交感神経の働きを高めてしっかり眠れば、翌日もまた元気に活動できるはずです」
昼間、しっかりと動いていれば、夜は自然に眠くなる。副交感神経へのバトンタッチもスムーズになるはずだ。
「忙しい現代人は、睡眠時間や入浴時間が減っているというデータもあります。それでは自律神経は乱れるばかり。生活習慣を見直して、自律神経を整えれば、少しくらいおいしいものを食べ過ぎても、自然と太りにくい体になれます」
生活のメリハリが、自律神経のメリハリにつながるのだ。
健康ブームにより、ダイエットに対する意識も高まっている。TVや雑誌もこぞってダイエット方法を紹介しているが、「摂取カロリーをとにかく減らすための食事法」や「できるだけ消費カロリーが多くなる運動法」といった方法論が主流だ。
食事を減らしても、運動量を増やしても痩せにくいという人も少なくないが、「自律神経の働きに着目することで、ダイエットに成功する方も多くなるはずです」と、森田氏。
「そもそも本来の健康とは、ダイエットによる痩身や体型維持ばかりではなく、精神的、社会的にも充足できることを指すはずです。自律神経のバランスを整えることで、精神的にも充足感や自己満足感を得られ、バリバリ働けるので社会貢献にもつながりますよ」
ダイエットのためといって、無理な運動や極端な食事制限を行う前に、メリハリのある生活を心がけてみてほしい。(森 江利子:清談社)