次に自衛官採用ランキングをみてみよう。自衛官は、しばらく日本大がトップだった。しかし2016年、東海大が1人差の29人で日大を上回り、いわば“国防の頂点”に立った。
自衛官を志望する学生にはさまざまな理由がある。国の安全保障を考えたから、災害救助の活躍に触発されたから、自衛隊が身近な存在だったから、などだ。「身近」とは、家族が自衛隊に勤務している、基地や駐屯地が近かったことなどで、なじみがあるということ。それを反映し、採用者数上位には、基地、駐屯地が多い北海道、九州の大学が見られる。
自衛官採用者4人以上の大学(上位94校)をみると、北海道は札幌大、酪農学園大、北海道教育大、札幌国際大、北翔大、北海学園大、北星学園大。九州では福岡大、九州国際大、九州産業大、日本文理大、鹿児島国際大、九州共立大、久留米大、福岡工業大が並んでいる。他の都府県の同規模大学と比べ、輩出率が高い。
千葉科学大では、自衛官を養成するコースが、2016年、危機管理学部危機管理システム学科に設置された。その名もズバリ「自衛官・安全保障コース」である。日本で初めてだ。担当する佐藤庫八教授は、陸上自衛隊出身。同コースのパンフレットでこう訴える。
「安全保障について具体的で実効性のある提言が出来る能力を身に付け、さらに自衛隊・自衛官が担う役割を正確に理解してほしいです」
ちなみに、危機管理教育で常に新しい話題を提供する千葉科学大は、獣医学部新設で揺れる加計学園が経営する大学。現在、学園グループ全体が「危機管理」対応を迫られている、ともいえる状況だ。
12人の拓殖大(8位)の総長は森本敏氏だ。防衛大学校出身で航空自衛隊に勤務。2012年の民主党・野田佳彦内閣で防衛大臣をつとめている。なお、3日に発足した安倍第3次改造内閣の小野寺五典防衛大臣は、東京水産大(現・東京海洋大)卒業で、東京大大学院法学政治学研究科修士課程を修了している。
※データは大学通信調べ(2016年実績)
(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫)