ポスト石破のキングメーカーはいったい誰?
一方、3人の首相経験者たちは、石破氏の強い続投意欲を見て、ここで、無理やり引き摺りおろそうとすると、3人の首相経験者には責任はないのかという批判に火がつく可能性があり、また、見苦しい権力闘争と受け取られるので、「分裂は避けよう」という言葉に表れたように、渋々ではあるが、一旦矛を収めたというところではないか。
また、石破ではトランプにいいようにやられてしまうだろうと密かに期待していた元首相もいただろうが、日米関税交渉が、予想外にうまくまとまったことで、ここで性急に総裁を交代させても、その後の交渉でしくじれば、石破の方が良かったと批判されるので、ある程度詳細が固まるところまで石破にやらせた方が得策だという考慮も働いたと思われる。
ただし、彼らが石破続投を認めたわけではなく、むしろ、ポスト石破のキングメーカーになるための工作は一気に加速しそうだ。そこで、仮に石破退陣となった場合にどうなるかを考えてみよう。
次の総裁候補としては、高市早苗・前経済安全保障相、小泉進次郎・農林水産相が有力だ。その他には、小林鷹之・元経済安保相、林芳正・官房長官、加藤勝信・財務相、茂木敏充・前幹事長、さらには、麻生派の鈴木俊一・前財務相などの名前も出ている。
読売新聞の世論調査(21〜22日実施)では、自民党中心の政権が継続する場合に次の首相として誰がふさわしいかという質問に対して、高市氏の26%、小泉氏22%、石破首相8%の順だった。石破首相が3位である。
この3人を除くと、河野太郎・前デジタル相が7%だが、あとは、小林氏3%、茂木氏や林氏が2%、加藤氏1%とほぼ泡沫である。岸田前首相も候補として挙げられたが、やはり2%だった。
読売の調査によれば、野党支持層では、高市氏36%、小泉氏16%、石破首相5%の順だったのに対し、自民支持層では小泉氏32%、石破首相15%、高市氏14%。無党派層では、小泉氏23%、高市氏22%、石破首相5%だった。
自民党総裁選は、任期途中の交代の場合、自民党の国会議員と都道府県連代表が投票を行うので、世論調査とは直接リンクしないが、自民支持層の多くが小泉氏を推しているというのは総裁選にも影響するだろう。また、石破首相と高市氏はほぼ並んだが、石破首相の方がわずかにリードというのは、石破首相には好材料ではある。
一方、いつあるかわからない衆議院の解散総選挙を考えると、全体の支持で高市氏が小泉氏を少しリードしているということが重視されるかもしれない。選挙の顔を選ぶという色彩が強くなるからだ。