野党支持層に圧倒的人気の高市早苗

 もう一つ注目されるのは、高市氏は野党支持層に圧倒的に強いという点だ。高市氏が自民党の中の右翼的な位置にいることを考えれば、この野党支持層とは、主に参政党や国民民主党の支持層であると考えられる。高市氏が首相になると、支持層が重なるこの両党との連立という話が一気に現実味を帯びることになるだろう。

 逆に、自民党支持層は、そうした自民の極端な右傾化を警戒して、その分だけ高市氏への支持が低くなっていると見ることもできる。

 こうしたことは、リベラル色の強い野党支持層の動きにも影響を与える。

 立憲民主党は、野田佳彦代表の下で戦ったが、比例の得票数で参政と国民民主に抜かれて野党3位に転落した。しかも、野田氏は、この期に及んでも、いまだに政権交代を目指して解散総選挙を目指すと言わない。

 参院選の結果、いま選挙となると、参政と国民民主が伸びて、衆議院で立憲が相対的に野党の中での存在感を落とすことがほぼ確実なので、怖気づいているのだ。トランプ米大統領がいつも怖気づいて後退するTACO(Trump always chickens outの略)と揶揄されるが、野田氏についても、前国会で内閣不信任案を提出しなかったことに続き、今もビビっているとして、Noda always chickens outでNACOという言葉が出てきそうだ。

 このまま指をくわえているだけだと、自民党で高市総裁が誕生し、消費税減税と外国人規制強化などの公約を掲げて、参政、国民民主と連立を組む恐れがかなり高くなる。超右翼政権誕生だ。立憲中心の政権交代という夢とは正反対の結果となってしまう。

 そこまで危機的状況になっているのに動かない野田氏に苛立ちを強める支持者たちの一部は、とりあえず、高市自民総裁を阻止することが最優先だということで、「石破辞めるな」キャンペーンに乗り出した。7月25日夕刻には、官邸前で、「石破やめるな 官邸前激励2025」と銘打ったデモが行われ、1200人(主催者発表)が参加した。高市・参政・国民民主連合の危機が目の前に迫っているということがさらに拡散されれば、これが大ブレークする可能性は十分にある。

 参加者の多くは、立憲や共産党支持者や無党派層の人たちのようだが、中には自民支持者もいたようだ。野党支持者が石破コールを官邸前で叫ぶという異常事態。「極右の星・自民高市vs.リベラルの星・自民石破」という構図だ。しかし、いずれにしても、次の衆院選では、立憲や共産の地盤沈下はさらに明確になるだろう。

 なぜそんなメチャクチャなことが起きるのか。

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