中日の中田翔(日刊スポーツ)
中日の中田翔(日刊スポーツ)
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 楽天の浅村栄斗が5月24日の日本ハム戦で通算2000安打を達成した。このとき中日スポーツに「アサは高校の後輩だけど、リスペクトするところがたくさんある」と祝福の手記を寄せたのは、大阪桐蔭高校で1年先輩の中田翔(中日)だった。

【写真】大阪桐蔭出身で初の「2000安打」達成者は中田の1年後輩のこの選手

 高校時代に通算87本塁打を放って“怪物”と呼ばれた中田は、2007年のドラフトで4球団が1位で競合の末、日本ハムに入団した。1年後輩の浅村は翌年のドラフト3位で西武に入団した。2人は20年にパ・リーグ打撃部門のタイトルを激しく争っている。本塁打王は32本の浅村が獲得し、中田は31本で1本差の2位。打点王は中田が108打点で獲得し、浅村は104打点で2位だった。

タフさで差が出た浅村と中田

 2人のもっとも大きな違いはタフさかもしれない。浅村は故障が少なく、西武時代の15年8月から楽天時代の今年5月にかけてパ・リーグ記録の1346連続試合出場を果たした。一方の中田は故障が多く、日本ハム時代の20年を最後に、規定打席に到達したことがない。

 日本ハムから巨人をへて中日に移籍した昨年、中田はコンディション不良が多く、62試合出場で打率.217、4本塁打、21打点と不完全燃焼のシーズンになった。腰痛に苦しんだことから、昨年オフは体重を15キロ減らして体のキレを取り戻すことに重点を置いた。

 今年は一塁のレギュラーが確約されていない立場で、開幕からアピールしたかったが打撃の状態が上向いてこない。4月19日のDeNA戦で左翼ポール際に今季初アーチを放ち、移籍後初めてバンテリンドームのお立ち台に立ち、「ふがいないバッティングばかりしていて、ファンの皆さんには申し訳ない気持ちでいっぱいですけど、この場にこうやって立ててすごく幸せです」とかみしめた。だが、その後も一塁のスタメン起用は新外国人のボスラー、カリステという形になり、ここまで22試合出場で打率.169、2本塁打、4打点。日本ハム時代に打点王を3度獲得した強打者が、得点圏打率.063は寂しい。腰痛を再発して5月13日に登録抹消され、ファームで調整をしている。

 他球団のスコアラーは中田について、「怖い打者であることは変わらないですよ。打撃技術が高く、甘く入れば長打を浴びる危険性があるし、チャンスの場面では走者を還す打撃ができる。コンディションの問題がすべてじゃないですかね」と分析する。

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