
全国各地で熱戦が続いている高校野球の春季大会。5月10日には最も早く終わった九州大会と、県大会で敗れたチームから光るプレーを見せたドラフト候補について紹介したが、今回はそれ以降に目立った選手をピックアップしてみたいと思う。
まず最も強烈なインパクトを残したのはやはり健大高崎のエース、石垣元気だ。3月に行われた選抜高校野球では大会直前にわき腹を痛めた影響もあって本調子ではなく、チームも準決勝で横浜に敗戦。スピードはあったものの、まだ上手く制御できていないという印象だった。選抜大会後はしばらくリハビリに費やしていたが県大会の前橋育英戦で復帰。そして圧巻だったのが関東大会の1回戦、東海大菅生戦でのピッチングだった。2点をリードした6回から登板すると、4イニングを投げて被安打1、四死球0、4奪三振とほぼ完璧な投球で試合を締めて見せたのだ。
ストレートの最速は球場表示で156キロ、筆者のスピードガンでも155キロをマーク。これは今年筆者が計測した中で大学生、社会人も含めてトップタイの数字である。また計測できたストレートは全て150キロを超え、その平均球速は152.5キロだった。1イニング限定ではなく、4イニングを投げてこれだけの数字を記録できる高校生は過去にもほとんどいない。180cm、80kgとそこまで大柄ではなく、フォームや腕の振りを見てもまだ余力があるように見えたが、それでもこれだけのスピードを出せるというのが大きな特長だ。
また48球を投げてボール球はわずかに12球で、ストライク率は75.0%とこちらも驚異的な数字となっている。緻密なコントロールというわけではないが、しっかりコーナーに投げ分けており、何よりもストライクゾーンで勝負できているというのは大きな強みである。スライダー、スプリットの制球も昨年秋と比べてレベルアップしており、変化球でカウントをとることもできていた。関東大会ではその後の3試合でもピンチを背負った場面はあったものの無失点に抑えてチームの優勝にも大きく貢献。この活躍で高校ナンバーワン投手が改めて誰なのかを証明したように見えた。