そんな健大高崎に敗れた東海大菅生で目立ったのが藤平寛己（投手兼外野手）だ。2点を追う8回から登板すると、健大高崎の強力打線を相手に2イニングをパーフェクト、1奪三振と見事な投球を見せたのだ。175㎝、75㎏と体はそれほど大きくないが、股関節も肩甲骨周りも柔らかさがあり、全身を大きく使って腕を振ることができており、ストレートの最速は149キロをマーク。140キロ台前半も多く、石垣のように安定して速いわけではないものの、指にかかった時のボールの勢いは目を見張るものがあった。またこの日は5番、ライトとして先発出場しており、第2打席ではライトオーバーのスリーベース、第3打席には石垣からチーム唯一の安打となるセンター前ヒットを放ち、打撃でも非凡なところを見せている。スカウト陣の話では大学進学が濃厚とのことだが、今後が楽しみな存在であることは間違いない。
関東大会の野手で目立ったのが浦和学院の藤井健翔（三塁手）と垣内凌（外野手）の2人だ。藤井は181cm、97kgという高校生離れした体格とパワーが魅力のスラッガーで、春の県大会では3本のホームランを放って話題となっている。選抜優勝の横浜との試合では第1打席こそキャッチャーフライに倒れたものの、第2打席ではレフト前ヒット、第4打席ではライトオーバーのツーベースを放ち、第3打席のサードライナーもとらえた当たりだった。巨体でまだ体の回転の鋭さなどは物足りないものがあり、内角の速いボールには課題が残るものの、インパクトの強さと打球の速さは圧倒的なものがある。貴重な大砲候補だけに、夏も注目を集めることは間違いないだろう。
藤井の前の3番を打つ垣内も横浜戦の第2打席でセンター前ヒットを放つと、9回の第4打席には1点差に追い上げるソロホームランをライトスタンドに叩き込んで存在感を示した。いかにもアスリートタイプの体つきで、動きに躍動感があり、ライトから見せる強肩も大きな特長だ。右投左打の外野手は高く評価されることが難しいと言われるが、走攻守全てが高いレベルにあるだけに、十分ドラフト候補と言える存在である。
