花巻東高校(岩手県)時代に高校野球で歴代最多とされる通算140本塁打を放った佐々木麟太郎さんは昨年、スタンフォード大学に進学。課外活動の実績が評価される海外大の受験方式が話題となった(写真はイメージ/photo・写真映像部 和仁貢介)

高校1年の時点で英検準1級クリアを

 とはいえ、海外のトップ大学を目指すには、いつから準備すれば間に合うのか。Route Hの運営責任者、篠塚伸夫さんは「受験時の英語力の目安はTOEFL80点」という。

「英語の勉強は高校の早い段階で終わらせ、課外活動などに時間を割く必要がありますから、逆算すれば高校1年の時点で少なくとも英検準1級はクリアしておく必要があります」

 課外活動のポイントは「とにかく行動し、アウトプットに努めること」だという。中高生を対象にした課外活動の成果になるイベントは、ディベート大会や模擬国連、ビジネスコンテスト、専門分野の「〇〇学オリンピック」など多岐にわたる。

「面白いのは、こうしたイベントに参加してユニークなアピールをした生徒には、それがきっかけで研究者や企業から声がかかり、大学教授との共同論文の執筆などさまざまなチャンスにつながるケースが多いことです」(篠塚さん)

外資系コンサルへの就職も東大生とは異なるルート

 卒業後の進路を国外に想定している場合、日本の「就活」とは全く事情が異なることも留意しておくべきだ、と篠塚さんはアドバイスする。

「日本では大学3年生になってから就職面接のノウハウを学んだり、企業訪問したりしますが、海外にはそもそも新卒一括採用のシステムがありません。このため海外大学の場合、4年間を通じて就活にも使えるディベート力や実務のスキルを身につけていく形になります」

 米国の場合、さまざまな企業を招く大学主催の「キャリアフェア」に1年生の時から積極的な参加が求められる。企業のインターンシップを活用してスキルをアピールし、大学在学中に採用されるケースも珍しくない。

 英国の場合、16歳以上を対象とする「アプレンティスシップ」という制度があり、大学1、2年生の時点で雇用主から賃金をもらいながら実務経験を積み、正社員採用につなげるパターンも多いという。

 近年、東大生に人気の外資系コンサルへの就職も、海外の大学から志望する日本人学生と国内の学生とでは採用に至るルートやマインドが全く異なる、と篠塚さんは指摘する。

 「大学3、4年生になって企業のエントリーシートに記入することから就活を始める日本の学生と違って、海外の学生の多くは在学中に自分の専門分野にインターン応募して実務経験を積んで採用につなげています。4年間で培う語学力や多国籍の学生との交流を含め、グローバルで活躍する素地を養うのは海外大学の学生のほうが有利といえるでしょう」

(AERA編集部・渡辺 豪)

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