海外大学の受験で比重が高いのは課外活動の実績やエッセイだ(photo GettyImages)

「総合型選抜も海外大学受験で比重の高い課外活動やエッセイも、それぞれの生徒がオリジナルストーリーを作ることやユニークな人間像が求められます。これは一般受験とは異なり、効果的・効率的な指導が難しいため、各校とも傾向や対策がつかみづらく、対応に苦慮されているようです」

 その上で入谷さんは、国内と海外の大学受験の違いについてこう強調する。

「海外大学に関しては、とりわけ本人の本気度が求められます」

「親ブロック」「先生ブロック」「経済ブロック」の三つの壁

 海外大学受験の内実はどうなっているのか。

 Route Hの受講生は国内が7割、国外が3割。国内の6割が首都圏在住者で、ほぼ全員が有名進学校の生徒だという。

「海外大学への進学がトレンドになりつつあるといっても、現時点で過熱感があるのは有名進学校がしのぎを削る首都圏を中心とする局地的な現象と捉えています。地方と首都圏の教育環境や意識の違いが顕著に反映されていると感じています」(同)

 海外大学進学は、本人が「行きたい」と言ったときの周囲の反応に大きく左右されるという。最初に立ちはだかるのが、「親ブロック」「先生ブロック」「経済ブロック」の三つの壁だ。親や学校の先生から「そんな選択はあり得ない」と言われ承認感を得られなければ、たいていは「芽」の段階でついえてしまう。

 学費の高さも国内大学の比ではない。米国の大学の場合、学費だけで年間4万~6万ドル前後(日本円で600万~900万円)に加え、生活費も必要になる。それが4年間となると、富裕層でなければ「あり得ない」という反応もうなずける。

 ただ、親が海外駐在を経験していたり、外資系企業やIT企業など海外との関わりが深い仕事に携わっていたりしていて「グローバルな視点」をもつ場合は事情が異なる。奨学金制度が充実していることなど海外の大学に関する情報に精通しており、将来は子どもにも海外で活躍してほしいと期待している親が多いからだ。

次のページ 海外大向きは陽キャ?陰キャ?