そして1年ほど前のことになりますが、年度内で大学病院の短期入所が利用できなくなることを見越して、自宅近くの地域包括病棟のある病院へ電話し事情を説明しました。
はじめはかなり困惑されていましたが、それでも数回に分けて話を聞いてくださいました。
ただ、この病院は10代の医ケア児を受け入れるのが初めてとのことでした。長女にはてんかん発作や重症の側弯(そくわん)症などの合併症があり、「万が一のことが起きた時にどう対応すれば良いか分からない」と言われたため、市内のかかりつけの総合病院の主治医に救急搬送時の受け入れの相談をしたところ、「短期入所中に急変した場合は、この病院に搬送して大丈夫」と言っていただいたため、そのことを再度、地域包括病棟に伝えるなどして安心材料を積み重ねた結果、まずは外来に通い、少しずつ長女に慣れてもらいながら、約1年かけて徐々に受け入れていただくという見通しが立ちました。
私の自宅安静で急遽預かり
ところがその翌月に私に病気が見つかり、急遽手術が必要となってしまいました。手術入院とその後の自宅安静期間、長女は大学病院と措置対応のある国立病院が受け入れてくださり何とかなったのですが、長女が退院して数日後にケアのために私が抱き上げたとたん、腹圧がかかっておなかの中で出血してしまい、自宅安静となってしまいました。そこで無理を承知で長女を預かってもらえないかと地域包括病棟へ問い合わせたところ、急遽入院できることになったのです。
急だったので、お試し入院もないまま、いきなり長期入院となりましたが、結果的には何の問題もなく過ごすことができ、思いがけず前例をつくることができました。
そしてこの前例はまだまだレアケースのため、今回の医ケア議連で発表させていただけることになったのです。
保護者の睡眠不足解消のため
ところで、そもそもどうしてこんなに医療的ケア児の短期入所施設が必要だと訴えているのかといえば、保護者の睡眠不足の解消のためです。これは我が家に限ったことではありません。人工呼吸器を使用している保護者の約53%は平均睡眠時間が5時間未満であり、さらに70%以上は断続的な睡眠しかとれていないという厚労省のデータもあります。現在、保護者が夜間に安心して預けることのできる福祉サービスは短期入所のみです。施設の拡充により、保護者は睡眠と休息を確保できる環境を得ることができるのです。
この1年ほどの間にも、医療的ケア児が亡くなり保護者が逮捕されるという痛ましい事件が複数ありました。睡眠不足は、私自身も経験がありますが、メンタルの不調に直結します。
どんなにかわいい子どもであっても共依存は避けなければならず、子どもと離れる時間を持つことがとても重要です。