
報道によれば、4月12日、立憲民主党の枝野幸男元代表は、さいたま市での講演で、消費税減税を「ポピュリズムだ」と述べた。
夏の参議院選挙の公約については、立憲内で本格的な議論が始まったばかりだ。
これからなすべきなのは、立憲の全議員の間で議論を重ねて意見を集約し、最終的な公約案をまとめることだ。
ところが、枝野氏は、大事な党内議論の入り口の段階で、自分の意に沿わない提案について、「ポピュリズム」だと断じ、議論を封殺しようとした。さらに何を勘違いしたのか、「給付も減税も財源を明確に示さないのは国民生活にマイナスだ。財源は政府が考えろでは無責任を超えている」と訴え、さらには、「減税したい人は諦めてもらうか別の党をつくってほしい」と、まるで党の分裂を煽っているかのような発言までした。
「立憲創設者である俺の言うことが聞けないなら、出ていけ」と言ったという受け止めをされても仕方ない。「立憲は、やはり、民主的な党ではない」と思われたり、「また、いつもの分裂症候群が始まった」と見られたりするかもしれない。
そして、枝野氏自身にも跳ね返ってくる。党内の若手からは、「枝野さんも終わりましたね」という声まで聞こえてきた。
立憲内では、後に述べるとおり、2つの消費税の減税案が出されているが、両案とも財源の確保については、外国為替資金特別会計(外為特会。為替相場の急激な変動の際の為替介入などに必要な資金を保有管理する特別会計)の活用や将来的な税制改正(所得税や法人税)で確保するとしている。少なくとも、財源を考えていない無責任なものだとは言えず、枝野氏の「ポピュリズム」批判は的外れだ。
重徳和彦政務調査会長も「党内に『財源はなんでもいいからとにかく減税だ』と言う人はおらず、ポピュリズムというのは何を意味しているのか、ちょっと分からない」と述べて、枝野氏を批判した。
ここまで書くと、枝野氏の方こそ党を出ていけと思う人もいるだろう。しかし、どちらが出ていくにしても、政権交代のチャンスが目の前に出てきたのに、党が分裂するなどということになれば、それこそ、政権交代を訴え続けた立憲が国民を思い切り裏切ることになる。絶対に避けなければならないことだ。
では、どうしたら良いのか。
まず立憲内の消費税の減税案の内容を確認しておこう。大きく分けて、2つの消費税減税支持グループがあるが、そのうちの1つは、末松義規衆議院議員が会長を務めるグループで、消費税率を時限的に5%へ引き下げる提案をしている。