塩気の少ない味気無さを旨味でカバー

 こうした研究などからもわかるように、減塩は継続しないと効果がない。ならば「休塩」やそれをうたった商品の意味は全くないのかというと、宮本さんは否定する。

 国循の病院食は塩分量の制限があり、かつての病院食は入院患者からまずいと不評で、食べ残しが多かった。しっかり食べなければ栄養もとれない。「私も食べましたが、確かに入院患者が食事を楽しめる味ではありませんでした」(宮本さん)

 この問題を解決するため、2005年から研究を開始。味覚にはさまざまな要素があり、塩分は控えめでも、出汁や酸味、心地の良い食感や見た目などで物足りなさを感じさせないメニューの開発にいたった。

 国循はさらにこの動きを、塩を軽く使っておいしい料理を作る「かるしおプロジェクト」につなげ、レシピ本も発行した。食品業者から申請があった場合、おいしさと栄養バランスを審査した上で、認定マークを発行している。減塩・無塩=おいしくないのイメージを払拭し、前向きな減塩生活を送るための取り組みだ。

「メーカーの努力で開発した『休塩』や食塩不使用の商品を試しに食べてみることで、『これもおいしいじゃないか』と知るきっかけができるのは良いこと。『休塩日』に効果はなくとも、そうした商品が増え、食べてみようかと思うことに意味があると考えています」(宮本さん)

 塩分大国の日本には、必要不可欠な取り組みといえそうだ。

(ライター・國府田英之)

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