
近頃、お酒を抜く「休肝日」になぞらえ、塩分摂取を控える「休塩日」という新習慣が注目されているという。だが、専門家によると、休肝日のように、週に1~2日、塩分を控える日を作ればいいかというと、そう単純な話ではないようだ。
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「休塩」商品が続々
毎月17日は「減塩の日」。休肝日ならぬ、「休塩日」が注目を集めているという。3月、ニュース番組が「休塩日」をテーマに取り上げ、「休塩日」をうたった食塩不使用のレトルトカレーや、無塩のポテトチップスなどを紹介した。
確かに近年、お菓子や缶詰、調味料などで無塩の商品が続々登場しており、無塩のレトルトカレーややポテトチップスがあるほか、「休塩」という言葉を使っているものもある。
酒飲みには説明するまでもないが、休肝日はアルコールの摂取を控える日で、週に2日程度設けるのが望ましいとされている。
では、同じように「休塩日」も、無塩商品などを活用して塩分摂取を控える日を作れば、健康維持に役立つということなのか。
塩分は体に必要な栄養素
国立循環器病センター(国循)の宮本恵宏・オープンイノベーションセンター長によると、塩分の過剰摂取は腎臓に負担をかけ、高血圧による脳卒中や心臓疾患、慢性腎臓病を引き起こすリスク要因となる。だが、一日や二日、塩分摂取を控えたところで、腎臓を休めることにはならないという。
「精神的に良い作用はあるかもしれませんが、身体に必要な栄養素である塩分と、体に必要ではないアルコールとを同じように考えるのはちょっと違うと思います。休刊日は『毎日、アルコールの分解に肝臓を頑張らせたらかわいそうだから休ませましょう』ということですが、塩分に同じ考え方は当てはまりません」(宮本さん)
2023年の「国民栄養・健康調査」によると、日本人の一日亜当たりの食塩摂取量の平均は9・8グラムで、男性10・7、女性は9・1グラムとなっている。男性のほうが塩分を好むと誤解しそうだが、宮本さんによると、「男性のほうが食事の量が多いから」だという。