「東宝とか、関西テレビとか、いろいろあるんですけど。4000~5000億あるんじゃないかな。政策保有株って何の役にも立たないんで、単純に株主総会でシャンシャンをやりたいためのツールなんです。少なくとも市場で売れるものはもういますぐ売却したほうがよくて。というのがまず一つ」

 さらに、自己株買いを進めて自社の持ち株保有率を高めるというのが二つ目だそうだ。そして三つ目が、会社分割だという。

「不動産事業とメディア事業の分離です。まったくシナジーがない」

 確かにそのとおりだ。これは、TBSにしても朝日新聞にしても日本のメディア産業全体にも言えることだ。たまたま不動産をたくさん持っていたことで、メディアが不動産事業をやることになっているが、相乗効果はない。

 実は日本経済新聞が、圓城寺次郎がいた1970年代から、日経テレコンやQUICK、日経NEEDSなど持っている情報を紙ではなくデジタルの形で売ることにいきついたのは、他の新聞社やテレビ局のような不動産を持っている会社ではなかったからだ。メディアのみで勝負をするという土壌が日経にはあった。だから、2010年には日経電子版をローンチできた。

「取締役会として重要な意思決定を迅速に進めたいでしょう。そこにメディアと不動産の話が出てきたら、これ、論点がね。同じ100億を投資するにしても、不動産に投資するのとメディアに投資するの、どっちがいいの? という話に絶対なりますよ。経営効率化しないんですよ。

 だから、会社分割。で、不動産は不動産のプロに任せて、より経営効率化をする。複数の不動産のプロの方々に聞くと、もっともっと経営効率、ROEも上げられるというふうにおっしゃるケースがほとんどです。鴨川シーワールドとか持ってますからね。何の関係もねえじゃねえかよと(笑)」

 分離をしたうえで、コンテンツに集中投資をする。そして、前回紹介したように、現在150万人の会員がいるFODを、ネットフリックスなみの1000万人に増やす。

「今までのフジはIP(知的財産権)の使い方も下手でした。扶桑社の雑誌SPA!で『孤独のグルメ』は連載していたにもかかわらず、肝心のテレビドラマはテレビ東京にとられてしまっている。だからIPも徹底的に駆使する。昔のフジはガチャピン、ムックなどそういうキャラクター得意だったじゃないですか」

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