「ホリエモンチャンネル」の収録をかねて行われたインタビュー(撮影/写真映像部・和仁貢介)
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 ライブドア事件の翌々年の2008年4月に放送法が変えられた。表向きは、今後地方局の経営がたいへんになってくるから、持株会社によって資源を共通化、効率化を図るという理由による改変だった。この持株会社の下に最大12の放送局を支配関係を有する会社としてぶら下げることができる。それまではメディアの集中排除の原則からできなかった。

 が、その新しくできた放送法の第8章「認定放送持株会社」に「議決権保有の制限」の条文が入り、単一の株主が3分の1以上の株をもてなくなっていたことに、気がついた人は少なかった。

 3分の1の株というのは、重要な議決に対する拒否権を有する株数だ。

 まっさきに認定放送持株会社をつくったのは、ライブドアに買収されかかったフジテレビで、その年の10月にはフジ・メディア・ホールディングスは、認定放送持株会社の認定をうけている。

 堀江貴文が語る。

「もうこれ、明らかに買収防衛策じゃないですか。地方局救済のための制度で、12局まで地方局をぶら下げられると言いながら、実はフジ・メディア・ホールディングスで支配関係を有する会社としてぶら下がっている地方局は、仙台放送だけなんです(72.4パーセントを保有)。3分の1以上単独株主が持てない、よそ者に経営に関与はさせない、買収はさせない、というのが放送法改変の肝だった」

 だから実は、仙台放送の株を売ってその比率を3分の1未満まで引き下げれば「支配関係を有せず」となり、「認定放送持株会社」は返上できると堀江は言う。

「そうすれば、経営陣による買収(MBO)が可能になる」

会社分割で不動産とメディアを分離

 最初の山場は、6月の株主総会だという。

 株主総会では、これまでは会社側提案の取締役選任の決議がしゃんしゃんで決まってきた。それを、株主提案の取締役選任の名簿を対抗案として出す。

「株主の過半数の同意を得て、株主提案の名簿を通す。そしてフジを変える」

 そうなった時に、まずやらなきゃいけないことは政策保有株の売却だという。政策保有株とは、持ち合いで持っている株のことだ。

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