そうして力を蓄えた後には、グローバル展開したいという。

「日本ってすごいわけですよ。ロックから演歌までものすごいジャンルが揃っていて。世界的なDJがいま日本の音楽をJ-POPをめちゃくちゃ注目してる。かけ出しているんです、最近。来ますよ、ここから5年でJ-POPがドンと来ます。それから日本の映像コンテンツもドンと来ます。だから、それはもうね、韓国に比べたら、もう漫画からラノベから、もうコンテンツの宝庫なんで」

フジテレビは“稲盛和夫”を必要としている

 堀江は、出身地である福岡のFMラジオ局「CROSS FM(クロスエフエム)」を2023年9月に買収し、会長として経営をしている。

「フジテレビのもうほんと500分の1ぐらいの経営規模ですが、地上波放送局であることは間違いなくて、一緒なんですよ(笑)。音声か、映像かというだけなんで、基本的に起こっていることは一緒です」

──仮に、株主提案の名簿がフジ・メディア・ホールディングスの株主総会で過半数の賛同を得られなければどうなる?

「これからまたさらに弱体化して、5年後か10年後か、立ち行かなくなる」

 堀江に言わせると日航を例にとるのがわかりやすいと言う。カネボウの伊藤淳二が中曽根の民営化方針をうけて、1986年に日航の会長に就任したが、このときは社員が従わず、改革は1年で瓦解する。これが、フジの2004年から2005年にかけての状況だ。ライブドアの買収はフジテレビの日枝久以下、報道局の社会部も参加しての反対工作で結局失敗する。

 日航は、その後放漫経営が続き、2010年1月には戦後最大の負債を抱えて、会社更生法の適用を申請し、事実上倒産という事態になる。京セラの稲盛和夫が、同年2月に会長として乗り込み、旧経営陣は一掃され、日航は再生した。今のフジテレビはまさに、稲盛和夫が会長に就任する前の日航と同じなのだと堀江は考えている。

「社内も、外部から経営者が来て、それに対して俺たちは従わねえぞみたいなことが言いづらい。フジテレビは実はチャンスなんです。既存の株主の皆さんもそうだし、働いている社員の皆さんもそうなんですけど、変えられると思いますよ、いまだったら」

(この対談は、堀江貴文氏のオウンドメディア「ホリエモンチャンネル」でも、前後編にわけて公開されました)

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