
寄付額の2千円を超える金額が控除される「ふるさと納税」。申請をせず、控除を受けなかった人が25%いるという。「アホすぎる」という声があがるが、なぜか怠惰になってしまう局面は、あなたも思い当たることがあるのでは。AERA 2025年3月31日号より。
【アンケート結果】仕事できても抜け出せない ワタシの怠惰なエピソードはコチラ(全2枚)




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またやってしまった!
月初の週末。銀行口座とクレジットカード、二つのアプリを見比べて頭を抱える。預金残高がカードの支払い額に数千円足りない。慌てて別の口座から1万円を引き出し、もう一つの口座に移す。年に2回ほど発生する、記者(31)の風物詩だ。
社会人として働き始めてすぐに、「好きなだけ使ってもいい口座」と「貯金用の口座」の二つをつくった。最初はうまく“運用”できていたが、コロナ禍が明けたころから出張費の立て替えなどで出費が増加。経費申請をずるずる先延ばしにしていたある日、「使ってもいい口座」がバースト、引き落としできずカードが停止した。
すぐに支払ったため大事は免れた。だが、一度すっからかんになった口座はゆとりがなくなり、残高ギリギリを攻める生活が始まった。お金を少し移せばいいと自分でも思うが、なぜかできずにいる。
だらしない──。そう自覚しているから、この話を誰かにしたことはなかった。打ち明けようと思ったのは、ある調査結果を見つけたことがきっかけだ。
宝くじも引き換えない
「4人に1人は寄付金控除を受けたことがない」
そんな文書を出したのは、ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクだ。ふるさと納税は、寄付の返礼品として地場産品などを受け取ることができる制度。申請をすれば、寄付額の2千円を超える金額が所得税と住民税から控除される。
だが、トラストバンクのアンケートによると、ふるさと納税をしたことがある人のうち25.2%が「控除を受けたことがない」と回答。その理由として39.8%が「手続きの仕方を知らない」とし、続く34.0%が「手続きが面倒」と答えたという。この調査結果を受けて、SNSには、「アホすぎる」「情弱」といった手厳しい言葉が並んだ。確かに損はしているが……。手続きが面倒という理由には、特に強いシンパシーを感じた。