
「怠け」の境界線はどこ
「後回しにして忘れてしまう場合は、遅延報酬障害が考えられます。報酬には結果がすぐ出る即時報酬とすぐに出ない遅延報酬があり、ふるさと納税の場合は返礼品をもらえることが即時報酬で、税の控除が遅延報酬にあたります。即時報酬を失敗する人はほとんどいませんが、遅延報酬になると失敗する人が出てきます」
夏休みの宿題も遅延報酬の一つで、毎年9月1日を過ぎても提出できなかった人は、遅延報酬障害の可能性が高いという。ここでは「毎年」というところに注目したい。
もう一つ原因として考えられるのが、優先順位をつけられないという問題。生活のなかで手続きの優先度が下がってしまい、失敗してしまうケースだ。
「いずれも発達障害の特徴の一つです。ただし、発達のばらつきは誰にでもあるため、診断の際には幼少期からの状況や環境を振り返りながら、慎重に判断します」(立川医師)
仕事はうまくこなせるもののプライベートで怠惰になることが多いというケースは、立川医師いわく「怠け」の一つ。その損失を大きくとらえていなかったり、その人のなかでの優先順位が低かったりするだけで、発達障害の可能性は低いという。
とはいえ、怠惰をやめるにこしたことはない。どうにか抜け出す方法がないか尋ねると、立川医師はこうアドバイスしてくれた。
「後回し癖のある人はスマホなど現代の武器を使って、リマインドをつけること。その際にはギリギリ間に合いそうな3日前などにするのがポイントです。1カ月後のことは後回しにしてしまいそうですが、さすがに3日後のことはそうしませんよね。優先順位がつけられない人は、ChatGPTに入れてみるのもいいかもしれません」
(編集部・福井しほ)
※AERA 2025年3月31日号