AERA 2025年2月17日号より

「仕事の幸福度は、年収だけでは測れません。利他性や人間関係に左右されるのです」(亀坂教授)

 出世したくない人が増えていることが話題だが、管理職についてもデータが集まっている。佐藤教授は言う。

「私の研究では、管理職に昇進1~3年後まで満足度は上がりませんでした。昇進により、男女とも年収が増加しましたが、所得の満足度は上昇しません。業務量も責任も増えるため、所得の増加の効果が相殺されていると考えます。女性の管理職は、余暇時間と仕事の満足度が低下し、昇進2年後の主観的な健康度は悪化しました。男性の健康度も悪化しています」

 改善策が見えてくる。

「管理職の負担にふさわしい報酬を出さなければなりません。業務量、労働時間を軽減させなければなりませんし、女性が管理職として働く環境を整えなければなりません」

(編集部・井上有紀子)

AERA 2025年2月17日号より抜粋

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