文科省は12年7月、外国人の子どもの就学機会の確保に当たっての留意点について、次のような通知を出した。

「仮に、在留カード等の提示がない場合であっても、一定の信頼が得られると判断できる書類により、居住地等の確認を行うなど、柔軟な対応を行うこと」

 さいたま市のケースでは、市教委はこの通知を「拡大して読んでしまった。われわれの認識不足に尽きる」として、今年1月24日、野津吉宏学校教育部長と菱沼孝行学事課長が謝罪した。先の温井さんは、こう指摘する。

「今回はたまたま、われわれに連絡があって除籍された児童がいることが発覚した。さいたま市ではずっとそのような対応が続いてきた可能性がある」

 河野弁護士は、先の答弁書の内容に反して、児童・生徒が学校に通えないケースがほかにもあるとすれば「問題は極めて大きい」という。

「教委に在留資格の有無が優先するかのような考え方があれば、それを変えていく必要があります。文科省は直ちに、在留資格がなくても通学できることの周知を再度徹底すべきです」(河野弁護士)

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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