先月30日、埼玉県さいたま市立の小学校を除籍されたトルコ国籍の女児(11)が約半年ぶりに復学した。同市教育委員会が誤って除籍処分としたことについて、竹居秀子教育長は同月28日の定例記者会見で「あってはならないことをしてしまった」と謝罪した。
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約半年間学校に通えず、友だちと一緒に修学旅行にも行けなかった。
「トルコの学校よりも日本の学校のほうが好き。通い続けたかった」
そう、女児は復学を市教委に要請した支援団体「在日クルド人と共に」(埼玉県蕨市)の温井立央(ぬくい・たつひろ)代表に話したという。
女児の一家が来日したのは2022年。難民認定の申請を行い、特定活動の在留資格を取得した。女児はさいたま市立小学校の4年生に編入。しかし、6年生だった24年7月、難民と認定されず、在留資格を失った。
本来であれば、在留資格の有無にかかわらず、通学を希望し、市内在住を証明すれば、通学を継続できたはずだが、市教委は保護者に「日本に居住し続ける意思を証明する書類を求めたが、提出しなかった」として女子児童を同年9月、除籍処分とした。
川口市では除籍は「ない」
温井さんらが一家の親戚から「女児が小学校に通えなくなっている」と相談を受けたのは昨年12月末だ。「さいたま市に隣接する川口市や蕨市ではそのような話は聞いたことがない。おかしい」と思った。
温井さんは女児が通っていた小学校に除籍の事実を確認したうえで、今年1月23日、さいたま市教委を訪ね、復学を要請した。しかし、「除籍にした理由は間違っていない」という反応だったという。
「市教委は『保護者から難民申請書などが提出されなかったので』と言う。われわれは『そのような書類は必要ないはずです』と伝えたのですが、理解していただけませんでした。対応が変わったのは翌24日朝、東京新聞が報じたことがきっかけだと思います」(温井さん)