宮崎キャンプで久保コーチ(左)とマンツーマンで投球フォームを見直す田中(右)

「モチベーションが上がれば、まだまだ勝てる」

 田中は23年に右ひじを手術し、その影響で昨年はコンディションが上がらなかった。1軍登板は1試合のみ。9月28日のオリックス戦(楽天モバイル)に先発登板して5回6安打4失点で黒星を喫し、プロ18年目で初の1軍未勝利に終わった。背水の陣で移籍したが、現役時代に右ひじを手術した経験を持つ巨人OBは田中の復活に太鼓判を押す。

「手術明けは調整が難しいです。体になじむまで時間が掛かるし、直球の球速が上がってこない。田中も苦労したと思います。ただここで無理をすると故障が再発してしまう。焦らずじっくり調整すれば、直球の球速が速くなるし、制球力も取り戻せます。あとはモチベーションですよね。楽天を退団する際に、『居場所がない』とコメントしていましたが、球団フロントと良好な関係には見えなかった。気持ちが体を突き動かすので、闘志に火がつかなければ復活できません。モチベーションが上がって、直球の力強さを取り戻せば、まだまだ勝てると思います」

 田中は昨年12月に行われた巨人の入団会見で「(日米通算200勝まで)残り3勝というところをフォーカスされるけれど、自分としては3勝で終わる気持ちはありませんし、一つでも多くチームのために勝利に貢献したいと思っています」と力強くコメント。記者会見に同席した阿部慎之助監督も、「2ケタ勝ってジャイアンツのユニホームを着て一緒に日本一になることしか僕は考えていません」と大きな期待を口にしている。

 巨人は海外FA権を行使してオリオールズに移籍した菅野智之の抜けた穴をどう埋めるかが課題になる。菅野は昨年15勝をマークして最多勝を獲得。菅野の活躍なくして4年ぶりのV奪回は成し遂げられなかった。今年の陣容を見ると、先発陣で当確と言えるのは、戸郷翔征、山崎伊織、グリフィン。昨年自己最多の8勝と頭角を現した井上温大も順調に仕上げれば入ってくるだろう。残りの2枠を高橋礼、赤星優志、横川凱、堀田賢慎、西舘勇陽、又木鉄平らが競っている。田中はこの競争を勝ち抜かなければいけない。

「田中が2ケタとは言わずとも6、7勝を挙げてくれれば大きなプラスになる。巨人の救援陣は、中日の守護神だったライデル・マルティネスが加入し、大勢、ケラーら12球団屈指の豪華な布陣です。田中は先発できっちり試合を作れば白星を積み重ねられるでしょう」(スポーツ紙デスク)

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