広島の新井監督
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 落胆したファンが多かった。広島は海外FA権を行使してオリックスに移籍した九里亜蓮の補償で、オリックスから人的補償として選手を獲得せず、金銭補償(8400万円)を求めることを1月16日に発表した。鈴木清明球団本部長は支配下選手の枠が残り少ないことを理由にあげ、5人目の外国人選手の補強をするために枠を使う意向を説明したという。

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 これに対してネット上では広島ファンから、「支配下枠を空けておかなかったフロントのミス」「オリックスならプロテクト漏れした有力な選手がいたはず」などと不満の声が噴出した。逆にオリックスファンからは、「選手をとられず助かった」「広島、ありがとう」などと感謝の声が漏れていた。

 年俸が高く補償対象となるFA選手が他球団に移籍した際、元の球団は移籍先の球団に、選手1名の人的補償か、金銭補償を求めることができる。ただし、移籍先球団は人的補償の対象にならないよう、選手28人をプロテクトできる。

「広島は昨年、得点力不足が原因で9月に大失速したため、即戦力の野手が欲しかった。投手陣も盤石とはいえない。うまくプロテクトされたんでしょうけど、オリックスは21年からリーグ3連覇した球団です。プロテクトされた28人以外にも獲得すべき選手はいたと思うのですが……」(スポーツ紙デスク)

 ただ、この選択は予測できた。球団の支配下枠は70人だが、広島はすでに68人。鈴木本部長が言うように外国人の補強を考え、今後育成枠の選手が支配下昇格する状況も想定すれば、九里の人的補償を獲得することが厳しい状況だった。

 広島の民放テレビ関係者は語気を強める。

ソフトバンク巨人と違い、戦力が潤沢なわけではない。補強するために支配下枠を空けなければいけないのに戦力外で退団した選手が少なかった。九里もメジャー挑戦すると考えて1枠空くと想定していたんじゃないですかね。他球団が戦力を整えている中で、優勝への本気度が見えません」

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