新井監督は「痛みとともに変わる」と言うが…
広島はファミリー球団と呼ばれ、生え抜きの選手を大事にする。その文化は評価されるべきでファンに愛される理由でもあるが、優勝を目指して戦力整備をするなら、シビアに考える必要がある。16年からのリーグ3連覇で不動の遊撃手として活躍した田中広輔だが、近年は出場機会を減らし、昨年は66試合出場で打率.156、2本塁打、7打点。遊撃は矢野雅哉が自身初のゴールデングラブ賞を受賞し、三塁に回った小園海斗も攻守で不可欠な選手になっている。途中出場で結果を出すタイプではない田中は起用法が難しい。また、同じくリーグ3連覇の主軸として貢献した松山竜平も昨年は65試合出場で打率.178、1本塁打、10打点。代打の切り札として期待されたが結果を残せなかった。
「ベテランの引き際は難しい。田中、松山は功労者なので球団も大事にしています。ただ、戦力として必要かという見極めは必要でしょう。若手、中堅にも同じことが言えます。ドラフト1位で入団した中村奨成はプロ7年目の昨年も30試合出場で打率.145と伸び悩んでいる。危機感を与えるためにも、育成枠にしたほうがいいのではと感じます。競争がなければチームは強くならないし、若手が目の色を変えないとチーム力が上がってこない。球団が厳しさを見せることも大事です」(在阪スポーツ紙デスク)
新井監督は今季就任3年目を迎える。Bクラスに終わったシーズン最終戦後のセレモニーで、マツダスタジアムに詰めかけたファンにこう宣言している。
「来シーズンは様々なことが変化する年になると思います。来シーズンだけでなしに、変わっていかなければいけない。変わるということは、それとともに痛みも生じてくると思います。今年よりも来シーズンはさらに厳しい道のりになると思います。覚悟と信念を持って、強いチーム、強い選手を育てていきたいと思います」
広島は強いチームに生まれ変われるか。現場だけでなく、球団フロントも本気度が問われている。
(今川秀悟)