貢献度が高い矢崎の放出に驚きの声
広島は昨年、8月まで首位争いを繰り広げていたが、9月以降は7勝22敗と大失速し、Bクラスの4位に転落。おかげでCS進出圏内の3位に上がったDeNAが、下克上で26年ぶりの日本一に輝いた。新井貴浩監督の下でチームの結束力は強く、藤井彰人ヘッドコーチが戦略を組み立てて接戦をしぶとくもぎとる戦いを積み重ねてきたが、上位3球団との戦力差は如何ともしがたい。
資金力で他球団に見劣りするため、FA市場には参戦せず効果的な補強が求められたが、その方向性に疑問符が付く。現役ドラフトで矢崎拓也が同一リーグのヤクルトへ移籍したが、矢崎は栗林良吏が不調で離脱した際に抑えを務めるなど救援陣の中で貢献度はピカイチだった。昨年は26試合登板で1勝10ホールド、防御率3.60と安定感を欠いたものの、23年は54試合登板で4勝2敗10ホールド、24セーブ、防御率2.81をマークしている。
広島を取材するスポーツ紙記者は、現役ドラフトで矢崎を放出したことに驚きを隠せなかった。
「独特のキャラクターなんですよ。自分の世界を持っていて他の選手と群れない。先輩に対しても自分が納得しなかったら意見を言う。従順とは言えないので誤解されるタイプなんですけど、投げっぷりがいいし、ピンチを迎えても動じない。昨年は夏場以降にファーム暮らしでしたが、救援陣の中で軸になっていた投手です。現役ドラフトで出す余裕はないと思うのですが……」
矢崎を放出し、現役ドラフトで獲得したのがオリックスの内野手・山足達也と日本ハムの投手・鈴木健矢だった。前出の広島民放テレビ関係者は首をかしげる。
「山足はオリックスで守備固め、代走での出場機会が多く、打力強化がポイントの広島に合う選手なのかと疑問です。プレースタイルが上本崇司と重なりますしね。チームの補強ポイントに合致する選手も、九里の人的補償でプロテクト漏れしていたと思います。この現役ドラフトで矢崎1人を出し、2人を獲得して枠を使ったことも、今回の金銭補償に影響している。チグハグ感が否めません」