5人の方の部屋のbeforeとafter。【ケース1/before】(写真:各受講生提供)
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【ケース1/after】モノの量は収納の6割ぐらいが適正だという。ある方は「街でもきれいになると治安が良くなるのと同様に、家の中もきれいになると治安が良くなって喧嘩が減ります」と語っていた(写真:各受講生提供)

 ふだん気にはなっているけれど後回しにしがちなのが「片づけ」。年末も近くなった今、「片づけ」の新たな効果を考えてみる。AERA 2024年12月2日号より。

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「自分の人生を変えたい、と思った時に環境を変えることはよくあります。転職、引っ越し、海外旅行。どれも変わりそうですが、一番簡単にできることは『片づけ』だと思います」

 そう語るのは片づけ習慣化講座「家庭力アッププロジェクト(R)」を主宰する西崎彩智さん。今までに個人的なものも含めると1万人以上の片づけられない女性たちの相談に乗ってきた。

 西崎さんによると相談者たちは単に「部屋が汚い」という以外にもさまざまな悩みを抱えていることが多いという。

「夫婦関係、親子関係など家族の悩み、仕事が忙し過ぎて安らげる時間も場所もない、自分だけが頑張っていて孤独を感じている、などです」

 しかし、家の中にあるモノに徹底的に向き合い、不要なモノを手放す作業を繰り返すことにより、自分の中にあった不要な「こだわり」や「思考のクセ」に気づいて手放すことができ、今までの悩みが解消していくという。

 実は西崎さん自身、片づけで人生を変えたひとりだ。約20年間専業主婦として二人の子育てに専念してきたが、44歳の時に離婚。元々片づけは得意な方だったが、離婚前後では全く片づけられなくなり、部屋の中が荒れていったという。

離婚を機に片づけた

「部屋が汚いことを他人に知られたくなかったので、子どもの友だちを家に呼ぶことも禁止していました。きっと子どもたちは悲しかったんだと思います。離婚後、息子が真っ先に聞いたのは『家に友達を呼んでいい?』ということでした」

 それを機に西崎さんは片づけを決意。夫が残していったモノも含め、家から出した不用品は2トントラック2台分にもなったという。

「片づけをしながら自問自答を繰り返し、『人生も子どもの学費も全部引き受けて生きていく』という覚悟が決まりました」

「家庭力アッププロジェクト(R)」卒業生の一人、ゆみこさん(45・仮名)は小学生の息子がいる会社員。外から見ると子育ても仕事もうまく両立している女性に見える。

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部屋も心も変化した