【ケース3/before】(写真:各受講生提供)
【ケース3/after】(写真:各受講生提供)

 しかし、亮子さんは片づけに関してトラウマがあった。

「私は母子家庭で母と二人の環境で育ったのですが、母は片づけが得意。部屋はきれいだったんですが、私の部屋にも入ってきて、勝手に捨ててしまうことが度々あったんです。それが悲しい記憶として残っていたので、私は子どものモノを勝手に捨てたくない、という気持ちが強かったです」

 とはいえ、子どものモノはどんどん増える。夫も片づけは得意ではない。

 そこで亮子さんは講座に入って集中的に片づけをやることを決意。徹底的にいらないモノを家の外に出した。また、家族のモノは家族と会話をしながら“いる・いらない”を判断し、定位置を決めていったという。

「もともと会話が少ない家族ではなかったですが、片づけをきっかけに会話はさらに増えました。家の中に余計なモノを持ち込みたくない、という気持ちが芽生えたので、無駄遣いが減ったのも思わぬ効果でした」

片づけは心との対話

 西崎さんは「片づけはコミュニケーション」だと語る。

 まずは、自分の心との対話。「これは自分にとって本当に必要なモノ?」「未来に持っていきたいモノ?」と問いかけ、モノの選別をする。次に家族とのコミュニケーション。家族と話し合いながらモノの“いる・いらない”や置き場所を決めていく。

 この作業をしていくうちに、自分や家族の本音が自然とわかるようになり、片づけ以外の問題も向き合えるようになるのだ。

「ライフステージの変化は自分でコントロールできなくても部屋の中はいつでも自分が心地いい状態にできます」(西崎さん)

(編集ライター・江口祐子)

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