部屋も心も変化した
しかし、ゆみこさんはコロナ以降、部屋の汚さに悩んでいた。その頃ちょうど転職し、新しい仕事に慣れるため奮闘する日々。また、近くに住む父親が体調を崩し、通院サポートも必要になっていた。子どもは小学生でまだまだ手がかかる。色々なことが重なり、日々目の前のことに追われ、どんどん部屋が汚くなっていったという。
「家に帰ってきてもリラックスできない。そんな生活を続けている中、昨年11月に父が亡くなってしまったんです。すごく悲しいし、長女としてやらなくてはいけないことも増えて、ますます部屋が片づかなくなってしまいました」
それでも責任感の強いゆみこさんは目の前のことをがむしゃらに進めていく。さらに、ゆみこさんが悩んでいたのは夫との関係の悪化だ。
「私が忙しくなって夫にあたるようになってしまったこともあり、些細なことで喧嘩をしてしまうことが増えました。子どもの前で言い争いをしてしまうこともあり、そんな自分が嫌でさらにストレスを溜めていました」
何かを変えたい──。そこでゆみこさんは部屋を徹底的に片づけることを決意する。
「亡くなった父は片づけが上手い人で、常に部屋はきれいにしていました。父は生前私たち夫婦の仲が悪化しているのを知っていて、心配してくれていました。なので、部屋をきれいにするのは父の導きのような気もしたんです」
講座を受け、45日で片づけ切った今、ゆみこさんの心はぐんと軽やかだ。
「部屋がスッキリしてストレスが減ったことはもちろん、私自身の内面の変化もありました。今までいろいろ抱え込み過ぎていたんですね。もっと人に頼っていいんだって。他人に任せることができないのに、『なんで私ばっかり』とイライラしてしまう負のループだったんです。それに気づいて、夫との関係も少しずつ改善しました」
片づけのトラウマ
3人の子どもを持つ専業主婦の亮子さん(46)は片づけのきっかけをこう語る。
「なぜか毎日心が落ち着かない状況が続いていて、メンタルに波があったんです。その影響からか末っ子の年長児の登園しぶりが多くなって。心が落ち着かない原因の一つとして、部屋が散らかっている、というのは薄々感じていました」