おじいさんが近所のみんなに「犬が掘れって言っているから、みんなで掘ろうぜ」と言っても、誰も穴なんて掘りません。
もし、おじいさんが偉い立場になったとして「これは命令だ! 犬が穴を掘れと言っているから、掘れ」と言っても、財宝が出る前に、みんなやめてしまうでしょう。
しかし、おじいさんが近所の人に「みんな、この犬が吠えたところを掘ろうぜ。この犬の金属に対する嗅覚は素晴らしく、特別な犬なんだ」とか「コイツがワンワンと吠えたところを掘ると、財宝がザクザク出てきて、一発でお金持ちになれる」とか「このビックウェーブは犬がいなくなると終わっちまう。だから、今やらなくちゃいけないんだ」と言ったら、一生懸命に穴を掘る人はかなり増えるでしょう。
人間は無意味な苦痛には耐えることができませんが、意味のある苦痛には耐えることができます。
誰かと仕事を行う際は「その活動を行う目的」と「もたらされる効果」をはっきりと明示して、再認識をしてもらいましょう。
②やって欲しいことと、やって欲しくないことを確認しよう
仕事を進めるにあたって、大切なことがあります。
それは、それぞれのやり方を理解し、必要な報告やサポートを行うことです。
そのためには、「やって欲しい」ことと「やって欲しくない」ことを、はっきりとさせておく必要があります。
まず、「やって欲しいこと」の確認ですが、『はなさかじいさん』で例えましょう。
穴を掘ってくれる村人を探す際に「早朝だけなら穴掘りに参加できる」とか「1日30分だけなら穴掘りに参加できる」という人がいたとしましょう。
そうした人にも動いてもらうには、最初から決めておくべきことがあります。
まずは「穴掘りの参加は義務ではなく、やってくれるだけでありがたい」ということをはっきりさせておきます。
そのうえで「もし宝が出たら、貢献度に応じて分配し、そのときには頑張りに応じて、このように分配する」と決めておきます。
すると、あとあと「頑張った参加者と、ときどき手伝った参加者」の間で、不平等が生じることは少なくなります。
というのも、はなさかじいさんにとってみれば、村人のみんなに期待しているのは「財宝が出るかわからないけど、穴掘りを手伝ってあげる」という行動です。それさえやってくれればいいわけです。
このようにして、「やって欲しいこと」を言っておくべきなのです。