それでも二軍では37試合に登板して防御率は1.41、1イニングあたりの被安打と与四球で示すWHIPは0.76と圧倒的な成績を残しているのだ。大型でストレートは150キロを超えることも珍しくなく、先発もリリーフも経験しているのも強みだ。今年で30歳とベテランにさしかかっているが、ポテンシャルの高さは抜群だけにもう一花咲かせてもらいたい。
パ・リーグの投手では板東湧梧(ソフトバンク)を挙げたい。2018年のドラフト4位でJR東日本から入団すると、3年目の2021年にはリリーフとして44試合に登板して1セーブ、16ホールドをマーク。その後は先発とリリーフの両方をこなし、昨年は自己最多となる5勝を挙げた。しかし今年は開幕から調子が上がらず、故障もあって新人だった2019年以来となる一軍登板なしに終わっている。スピードは少し物足りないところはあるものの、制球力の高さと粘り強い投球には定評がある。環境が変われば一気に成績を伸ばす可能性もありそうだ。
パ・リーグの野手でもったいない状況になっていると感じるのは野村佑希(日本ハム)だ。花咲徳栄では下級生の頃から中軸として活躍し、2018年のドラフト2位で日本ハムに入団。3年目の2021年からは一軍に定着し、昨年はいずれもキャリアハイとなる100安打、13本塁打、43打点の成績を残した。しかし小さな故障が多く、今年は開幕から結果を残せなかったこともあって早々に二軍に降格した。
その後も一軍と二軍を行き来するシーズンとなり、56試合の出場で30安打、2本塁打という寂しい成績に終わった。チーム状況を見るとサードにはトレードで加入した郡司裕也が定着し、万波中正、清宮幸太郎、水谷瞬など長打力のある日本人選手が台頭してきたこともあって、野村の存在感は一気に薄くなった印象を受ける。今年で24歳とまだまだ若く、二軍では圧倒的な成績を残しているだけに簡単にトレードに出すことはないという意見もありそうだが、日本ハムは昨年も吉田輝星(オリックス)が移籍するなどドラフト上位で指名した選手がトレード要員となることも多いだけに、交換する相手次第では他球団が獲得できる可能性もあるだろう。