育成から最多勝投手になった石川
今オフに「FAで一番人気になるのでは」と球界内でささやかれているのが、ソフトバンクの石川柊太だ。育成枠で入団し、ソフトバンクの先発の柱に成長した。縦に大きく曲がるパワーカーブを武器にテンポよく投げ込み、20年には最多勝、最高勝率をマーク。21年以降は2ケタ勝利から遠ざかったが、今年は復調の兆しを見せた。先発や救援などチーム事情に合わせて色々な役割をこなしつつ、シーズン終盤の9月には先発として月間4勝をマークして4年ぶりのリーグ優勝に貢献。15試合登板で7勝2敗、防御率2.56をマークした。推定年俸1億2000万円で人的補償を必要としないCランクの可能性が高いことも、他球団から人気の理由の1つだろう。
「先発陣のコマ不足に悩む球団は多い。FA権を行使したら、ヤクルト、DeNA、ロッテは獲得を検討するのでは。巨人も今季最多勝を獲得した菅野智之が海外FA権を行使し、メジャー挑戦の意思を表明している。菅野が抜けた穴をカバーするため、先発陣の補強に動く可能性があります。石川は東京出身なので在京球団が有利という声が上がっています」(スポーツ紙遊軍記者)
FA移籍は獲得に動く球団にとっても大きな決断になる。昨オフに日本ハムに移籍した山崎福也が2年連続2ケタ勝利をマークし、ソフトバンクで再起を誓った山川穂高が本塁打、打点の2冠王を獲得して4年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。一方で高額で獲得したFA選手が思うような活躍をしないと、生え抜き選手との軋轢も生まれかねない。
佐野、大城、石川が今オフのFA市場で、他球団から熱視線を送られる「人気銘柄」であることは間違いない。どのような決断をするだろうか。
(今川秀悟)