「更年期はいつか終わる」。そう考えて我慢している人も多そうだが、サポートがあれば心も体ももっと楽になるかもしれない(撮影/写真映像部 松永卓也)

 経済産業省が2月に発表した試算によると、「女性特有の健康課題」による経済損失額は社会全体で約3.4兆円。女性特有の健康課題には月経前や月経中に不快な症状がある「月経随伴症」と「更年期症状」、「婦人科がん」「不妊治療」の4項目が含まれるが、中でも損失額が最大だったのが更年期症状の1.9兆円だった。損失の理由となるのは欠勤とパフォーマンス低下、そして離職だ。

 更年期症状で生活に支障が出る場合、「更年期障害」と呼ばれる。症状は個人差があるが、よく知られるのがほてりや発汗、関節痛や手指のしびれ、そして頭痛やめまい、うつなどだ。

 江川助教によると、更年期障害はホルモンの変化に加えて心理的や社会的ストレスなど様々な要因が絡み合って症状に影響するという。

 冒頭の女性は、以前よりは元気を取り戻したものの、いまも「低空飛行」が続いているという。やる気は低下し、仕事量も落ちている。でも更年期外来で「全然やる気が出なくて」と話すと、医師は受け止めてくれる。話を聞いてもらえると、心も楽になるという。

 いま感じているのは「更年期というのは、今の自分を受け入れていく」時間だということ。「考え方の癖なども見直さないといけない時期。越えなくちゃいけない道なんだよね、と思うけど、本当にしんどい」

 更年期を過ぎた知人からは「びっくりするくらい楽になる」と聞く。そろそろ抜けられるのかな、もうしばらく続くのかな……。そう感じながら日々を過ごしている。

育児や介護と重なって

 育児や介護と更年期が重なると、負担はさらに大きい。

「私は高齢出産だったので、授乳を終えてしばらくしたら、いきなり更年期に突入してしまった感じです」

 都内に住む派遣社員の女性(50)は40代前半で2度出産。40代半ばまでは子どもたちと元気に遊べていたが、47歳ごろから急に体力の衰えを感じるようになったという。

 その頃から月経周期が不順になり、月に2度ほど月経がくるようになった。経血量が減ったわけではなく、たびたび貧血になった。子どもと公園に行って遊びたくても、すぐに疲れて横になりたくなる。

 さらに、今年に入ってから約20年ぶりにアトピーが再発した。仕事中はマスクをしてなんとか乗り切ったものの、赤みとかゆみがひどく、猛暑の時期は特につらかった。貧血の時は内科で鉄剤を処方してもらい、肌荒れは皮膚科に通った。そろそろ更年期外来にも、とは思っているが、友人から「混んでいて午前中がつぶれる」と聞くと二の足を踏んでしまうという。

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