ほかにも、国家公務員の中途採用説明会を主催し、各省庁の採用担当者を招いて仕事の内容や求める人物像についてじっくり話を聞く機会も設けている。今年は初回を2日間にわたって開催し、計100人近くが参加した。30歳前後が主で、民間勤務に限らず、地方公務員の参加も少なくない。そんな中、霞が関の内部にも変化が起きつつある。

「これまで新卒採用中心だった省庁も中途採用担当ポストを新設するなど、人材登用に積極的な姿勢が目立っています」(吉井さん)

 人事院は「民間人材採用サポートデスク」を22年に設置。各省庁に民間人材の採用プロセスや初任給の決定方法などをアドバイスしている。同年の人事管理に関する報告では「行政の課題が複雑化・高度化する中、多様な経験や専門性をもつ人材を公務に誘致することが不可欠」との見解も打ち出した。

 ただ、国のこうした取り組みを知る人は一部にとどまっているのが実情だ。

「国家公務員の採用試験というと、ガリガリ勉強しないとパスできない難関というイメージが強いと思いますが、中途採用は社会人としての実績という判断材料もあるので、筆記試験なしで、小論文を含めた書類選考と面接で完結するスタイルも定着しています」(同)

「VOLVE」は官僚の民間転職も支援している。同社が支援した官から民への転身者の多くは霞が関にネガティブな感情を抱いて辞めていくわけではない。

「官僚の仕事は大好きだけど、今度はミクロな現場で手触り感のある仕事に就いてみたいとか、民間企業で学んでみたい、今の働き方は続けられない、といったケースがほとんどです」(同)

 転職の動機で最も多いのが、「官僚の仕事は成果を実感しづらい」という声。政策立案から法律が施行され、何らかの成果が出るまでは10年単位の仕事になるが、役所の人事は2年ごとの異動が原則。専門的なキャリアを短期間で身につけたいと考える若手ほど抵抗を感じやすい。ほかに、子育て期に家族と一緒に過ごせる時間を確保したいという人。「民間で身につけたマネジメントスキルを霞が関に持ち帰りたい」と官僚に戻ることを前提に離職する人もいた。

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