――クラウドファンディングのテーマは“アーティストを支援する、地域と音楽をつなぐ滞在型音楽スタジオを作る”。宿泊して、じっくり時間をかけてレコーディングできる場所ということですね。

 はい。どれくらい泊まるかは場合によって違うと思うのですが、たとえば5日間あれば、ドラムの録音を含めてアルバム1枚分のベーシックのレコーディングはできるかなと。歌に関しては「スタジオじゃなくて、居心地のいい場所で録音しよう」ということもあるだろうし、ギターなども然りですよね。ベーシックの部分をスタジオで録れば、あとは自宅でダビングしてもいい。毎日セッションして、アルバムの原型をつくるのも良さそうですよね。それぞれ工夫しながら新しい音楽のつくり方を見つけてくれたらいいなと。その次の段階としては、ゲストハウスも整備したいと思っています。

――“地域と音楽をつなぐ”というところに関しては?

 コミュニティスペースをつくろうと思っています。地元の人達がお茶を飲んで話ができるような場所にしたいという気持ちもあるし、僕が持っている音楽の本やレコードを置いて楽しんでもらったり。ゲストハウスにはミュージシャン以外の方にも泊まっていただけるので、それだけでも活動を応援することになると思います。あとはワークショップ。曲の作り方、歌詞の書き方、録音機材と使い方などついての情報を共有したり、いろいろなことができるんじゃないかと思っていて。それは音楽をやっていない方も参加できるようにしたいですね。

スタジオ予定地に隣接する建物も改修し、宿泊や交流のスペースとして活用される※写真は改装前の現状(写真/八木 咲)
ゲストハウスにはミュージシャン以外の人も利用可能になる予定だという※写真は改装前の現状(写真/八木 咲)

――目標金額は5500万。この金額で賄えるのはどのあたりまでですか?

 土蔵のスタジオとコミュティスペース、スタジオを使う音楽家たちが泊まる部屋まではいけるんじゃないかなと。ただ、先ほども言ったように最終的にどれくらいかかるかまだわからないんですよ。5500万円でまずは運営できるようになるはずですが、スタジオづくりには想定外のことが起きるし、正直言うと、もう少しバッファを持てるといいなと思ってます。

――10月18日現在、支援総額は40,291,083円。達成率は73%ですが、この状況についてはどう捉えていますか?

 本当にありがたいですね。当初は「3000万円でも無理だろうな」と思っていたし、地元の方もそうですが、たくさんの人たちの応援をいただいて感激しています。自分が思っているよりも世間には愛や支援のフィーリングがあるんだなと。

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