オリックスの中嶋聡監督が今季限りで辞任することを電撃発表した。今季最終戦となった10月6日の楽天戦後、「優勝していたチームがここまで落ちることに関しての責任はしっかり取りたい。(球団から)強くとめていただいたが、新しいことを始める時に新しい人がやるべきだ」と語った。今年は5位に低迷したが、前年までリーグ3連覇を達成。実績を考えれば来季の続投は既定路線と思われただけに、まさかの展開だった。球団は9日、来季からの新監督に岸田護投手コーチが就任することを発表した。
【写真】オリックス再建のキーマンとして期待されるのはこの選手
中嶋監督は19年に2軍監督に就任。20年のシーズン途中から1軍代行を務め、21年から1軍の監督に就任すると、同年からリーグ3連覇。22年には26年ぶりの日本一になった。6年連続Bクラスに低迷していたチームを、「勝つ集団」に変革した功績は計り知れない。宗佑磨、杉本裕太郎、紅林弘太郎、頓宮裕真、中川圭太ら現在の主力選手たちは、中嶋監督に抜擢されて素質を開花させた。
昨オフに絶対的エース・山本由伸(現ドジャース)と先発左腕・山崎福也(現日本ハム)が抜けたが、戦前の下馬評は高かった。野球評論家からは「伸び盛りの投手が多いし、オリックスの黄金時代は続く」という高い評価が聞かれたが、蓋を開けてみればCS進出争いにすら絡めなかった。借金14で4年ぶりのBクラスに。中嶋監督は球団から再三慰留を受けたが固辞し、辞任を決断した。チーム内で何が起きていたのだろうか。
監督が猛抗議中に選手が談笑
オリックスを取材するテレビ関係者はこう語る。
「リーグ3連覇を達成したことで、チーム内に満足感が漂っていたように感じます。勝利への飢え、執着心というのが今年は最後まで伝わってこなかった。中嶋監督は全力疾走や攻守交替でテキパキ動くように訴えていましたが、改善されない。監督が判定を巡って審判に強い口調で抗議しているとき、主力選手がベンチで談笑していたことがありました。リーグ3連覇していたときは考えられなかったし、目を疑う光景でした」
このテレビ関係者は、オリックスの強さはチーム力だったと言う。
「リーグ3連覇を飾りましたが、過去に黄金時代を築いた西武、ソフトバンクのように個々の能力が圧倒的に高いチームではない。日替わり打線で臨んでいたように、束になって得点を奪うのがオリックスのスタイルです。でも、今年は淡泊な打撃が多く、凡打をしても淡々と引き上げて緩い空気が漂っていた。伸び伸びとした雰囲気で選手たちの仲が良いのがオリックスの良さですが、一歩間違えると厳しさがなくなり、ぬるま湯体質に陥りやすい。今年のチームはその兆候が見られました」