パ・リーグでもう1球団気になるのが楽天だ。ここ数年は太田光が主にレギュラーとなっているが、成績は横ばいが続いており、守備も打撃もそこまで突出したものがない。今年は石原彪が多く起用されているものの、レギュラー候補と呼ぶには物足りないのが現状だ。2021年のドラフト2位で入団した安田悠馬も完全に打撃が目立つタイプで守備は課題が多く、若手の有望株は少ないのが現状である。長くレギュラーを任せられるスケールの大きい捕手が欲しいところだ。

 そんな中で、今年のドラフト候補で、最も評価が高くなりそうな捕手が箱山遥人(健大高崎)だ。低い軌道で一直線にセカンドまで届く送球は高校生離れしたものがあり、バッティングも長打力を備えている。春のセンバツではチームを優勝に導き、キャプテンシーを発揮できるのも魅力だ。将来の正捕手候補が欲しい球団には狙い目の選手である。

 比較的早い段階で戦力になりそうな捕手では野口泰司(NTT東日本)と石伊雄太(日本生命)の社会人2人の名前が挙がる。野口は名城大時代も大学日本代表として活躍。打撃は当時から一級品だったが、社会人で守備が格段にレベルアップした。一方の石伊は高い守備力が持ち味だったところに、社会人でバッティングに力強さがついてきた。ともに社会人屈指の強豪チームで不動のレギュラーとなっており、実力は申し分ない。大学卒の社会人捕手は2017年の大城卓三(NTT西日本→巨人3位)と松本直樹(西濃運輸→ヤクルト7位)以来指名がないが、今年はそれ以来のNPB入りも十分に期待できるだろう。(文・西尾典文)

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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