石破氏は出馬会見で「驚きの発言」

 同じ旧岸田派の林芳正官房長官は岸田首相の女房役だ。裏金問題の処理を誤り、政治資金改革を中途半端なものにして自民党の支持率を下げた岸田内閣の要にいた人が自民党を変えるといくら叫んでも誰も聞く人はいないだろう。

 野田聖子元総務会長も「女性」ということで候補に名を連ねる。しかし、政治資金改革について特別なメッセージを持つわけでもない。長老たちの助けを借りなければ立候補できないという時点で、変革競争には参加できない。

 齋藤健経済産業相は、比較的清新さを感じさせる候補かもしれない。旧石破派に属していたが、派閥解消後は無派閥に転じている。能力的には、林官房長官と並び評価は高いが、これまでの言動を見る限り、政治資金改革に積極的なところは全く見られない。

 高市早苗経済安全保障担当相は、周知のとおり、政策的にはただの安倍元首相コピーの右翼政治家だ。改革マインドなど皆無で、ただただ右翼層の支持を狙っているだけだから、自民党を変える顔にはなれない。

 河野太郎デジタル相は、本来なら、自民党を変える顔にはうってつけの人だった。だが、前回の総裁選で国会議員票が集まらず予想外の大敗となったことを受けて、今回は麻生派を率いる麻生太郎元首相の支持を取り付ける戦略をとった。そのために、突出した改革案を提示することが難しく、脱原発も封印したと言われる。

 また、派閥に所属する唯一の候補ということで、自民党を変えるシンボルにはなり得ない。

 ただし、彼は、人を驚かすような突飛な行動をとる「変人」としても知られる。マイナンバーを使った政治資金改革などを打ち出すのではないかとも言われ、どこかで豹変して、改革派河野太郎復活という筋書きがあるのではないかと期待する記者も実はまだ結構いるようだ。

 河野氏の人気に衰えが見える中で、一貫して、国民人気ナンバーワンの座を維持する石破茂元幹事長は、孤立しても安倍政治の問題点を一貫して指摘し続けた政治姿勢が国民の共感を呼ぶ。最も信頼できそうな候補だ。最近出た著書の中でも、政治資金改革が道半ばだとして、政党法の制定などの骨太な改革を唱えるとともに、金のかからない政治を実現するためのいくつかの提案も行っている。

 また、自らを世襲政治家と位置付けた上で、3親等以内などの近い親族と同じ選挙区からの出馬を一定期間制限するのも一案だという提案までしている。

 さらに、石破氏は、24日の出馬表明記者会見で驚くような発言をした。パーティー裏金事件を受けた党内処分について「処分が適正であったか党選対委員会で議論する」「自民公認候補としてふさわしいか。基準を厳格に定めていくべきだ」と語ったのだ(毎日新聞)。これは、裏金議員から見れば、とんでもない話で、国会議員票を失う可能性が高い。それにもかかわらず、これを打ち出したのは、実現可能性はともかく、自民党変革への本気度を示したものとして高く評価できる。

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進次郎氏は「論戦」に耐えられるか