古賀茂明氏
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 岸田文雄首相が再選断念を発表してから、一気に自民党の次期総裁選挙への動きが本格化した。

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 新聞もテレビも連日総裁候補として名前が挙がる議員たちの動静などを大々的に報じている。さながら自民党によるメディアジャックだ。

 旧統一教会や裏金のスキャンダルで完全に行き詰まった岸田政権の窮地から、ようやく脱出のきっかけを掴んだ自民党は、このチャンスを最大限活かして、反転攻勢につなげようと活気付いている。

 仮に岸田首相が再選にこだわり、旧岸田派、麻生派、旧茂木派の主流3派で総裁選に臨み、再選に成功していたらどうなっていただろうか。国民は、派閥政治解消はまやかしだと怒り、自民党支持率はさらに低下。もちろん、解散総選挙などできず、臨時国会や来年の通常国会でも野党の追及は続き、来夏の参議院選は惨敗で、衆議院は解散しても来秋の任期切れでの選挙でも大敗して政権転落となる可能性は高かった。

 野党には、岸田再選ならチャンスだからあまり追い込んではいけないなどという声もあったほどだ。彼らから見れば、岸田首相の今回の決断は、「とても残念」ということだろう。

 報道によっては、岸田首相は、総裁に再選されてもその後の衆議院選挙で敗北する可能性が高いので、自民党が政権から転落するのは避けるべきだとの思いで、潔く身を引く決断をしたという「美談」を伝えるものもある。真偽はともかく、結果的には、自民党の救世主になる可能性はあるだろう。

 しかし、本当に重要な問題は、自民党を救えるかどうかではない。日本の政治を変革し、それによって日本を救うことができるのかということだ。

「日本の政治を変革する」には二つの道がある。

 一つは、政権与党の自民党を変革し、それによって日本の政治を変革する道。

 もう一つは、政権交代で、野党が政権に就き、それによって日本の政治を変革する道だ。

 そして、岸田氏の退陣により自民の変革が起きるのかどうかは、今回の総裁選で誰が新総裁に就くかによる。

 そこで、候補者と言われる議員(いずれも衆議院)たちを見比べてみよう。

 最初に立候補宣言をしたのが小林鷹之前経済安全保障担当相だ。49歳という若さで、旧二階派ながら、脱派閥をアピールして、中堅・若手議員24人の「仲間」を出馬会見に同席させた。「コバホーク」というニックネームも使い、無名であることを逆手にとって、脱派閥政治だからこそ立候補を表明できたと宣伝する。マスコミも、「世界が変わった」かのような報道で連日彼を追いかけ、最大限持ち上げて見せた。

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小林氏は長老の意向に支えられての立候補