人手不足で、就活は売り手市場と言われる。働き方改革も進む。けれど、給与が上がらない現実に苦しむ若者が増えている(撮影/写真映像部)

 コンサルティング会社で働く女性(30)は、こう語る。

「新卒でブラック企業ではない普通の会社に入って、パートナーとしっかり付き合う期間を設けて、25~26歳で結婚する。そして、35歳までに子どもを産んで、育休を取得して戻ってきたら昇格試験を受ける……。このように1年ごとのプランを緻密に立てないと、女性は管理職を目指せません」

 今回、取材に応じてくれた3人のうち2人は結婚しているが、子どもはいない。時間的にも金銭面でも、子育てできる余裕はないからだ。

 冒頭のCM制作会社の女性は、非正規雇用の立場から、次のように語る。

「女性が多い会社のため、育休も産休も取りやすいですが、非正規は文字通り『契約』のため『子育てで休みます』と言った日には、クビを切られるでしょうね。だからこそ、声を大にして言いたいのが『結婚適齢期の女性を契約社員で雇うな』ということです。法律で禁止してほしいくらいです」

 非正規雇用の場合、金銭面はより深刻だと訴える。

「正社員にならないと子どもを産むことができないのに、会社側はなかなか正社員にはしてくれません。長年、非正規という不安定な雇用状態に置かれ続けて、その揚げ句、子どもを産む選択肢までも会社に握られているのは、さすがにどうかと思います」

職場の価値観古いまま

 しかし、どの会社も余裕がない。コンサルティング会社で働く女性いわく、時代と逆行して、転職活動の際には性差があると感じているという。

「20代後半の女性は採用しにくく、面接が終わったあと人事が『どうせ、すぐに子どもを産んで来なくなるよ』と口に出してしまうほど。実際にそのような例が何度もあったため、雇う側も同じ轍を踏みたくないのでしょう。よほど優秀な人材であれば話は別ですが、同じ年齢で似たような学歴となった場合、どうしても男性が採用されがちです」

 女性の結婚や出産、そして働き方まで多様性が広がっているかと思いきや、働く現場は古い価値観のままであることは多いようだ。

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