人手不足で就活では売り手市場と言われ、働く現場での男女格差はなくなっているようだ。でも、生活に困らないだけの給与をもらうことができず、厳しい現実に直面する若者が多くいる。AERA 2024年8月5日号より。
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「学生時代から興味のあった映像系の会社に新卒で入社しました。しかし、手取りは正社員で15万円程度。契約社員のわたしの年収は300万円を下回ります……。好きで選んだ道ではありますが、『やりたいことをやるとは、こういうことなのか』と痛感しました。ちなみに、ボーナスは5千円です(笑)」
そう語るのは、立教大を卒業し、現在は大手CM制作会社で働く女性(32)だ。
国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、20~24歳男性の平均年収は291万円、女性は253万円。年代を絞らず、日本人全体の年収をみても、年収300万円以下の人の割合は34.6%となっている。つまり、日本人のおよそ3人に1人が年収300万円以下で、若者に限ればその割合はもっと上がるということだ。
「年収300万円時代」に直面しているのは男女問わずだが、冒頭の女性のように、近年は首都圏の私立難関大を卒業しても、入社2~3年はその程度の額が当たり前となっている。
学歴と収入が結びつかず、勤続年数が増えて30代になったとて、300万円台後半というのが関の山。現在、スマホゲームのメーカーで働く正社員の女性(32)は、こう嘆く。
「平日は起きてから寝るまで働き、週末も休まずに仕事。本来は『暮らしていく』ために働いているはずなのに、それで年収300万円台というのはあまりにも低すぎる。物価高になる前、コロナ禍以前は『平社員だから仕方がない』と思っていましたが、キャリアを重ねたことで、今は責任感と誇りを持って仕事をしているため、さすがに『この評価はありえない』と会社に訴えかけています」
雇用面で性差ないが
若い女性たちは「雇用面で性差はない」と話す。しかし、女性は男性よりもキャリア設計をしっかり組み立てなければならないという。