「呆れてしまい、まだこんなことするんですか、と少し声を荒らげてしまいました」
「年中無休」「24時間営業」で家族を縛るコンビニ経営は時代錯誤だとオーナーは訴える。
「コンビニのフランチャイズシステムは家族経営で支えられてきました。この仕組みができたのは専業主婦が当たり前だった昭和の時代で、オーナーの妻の労働力は無償提供を前提にしています。オーナー夫婦のいずれかは他の仕事に就くべきです。そのほうが家計も潤います」
人手不足倒産が増加
コンビニオーナーの高齢化も進む。近隣店舗の60歳を過ぎたオーナーが深夜勤務中に脳出血で倒れた。同じことが、いつどこのコンビニ店舗で起きてもおかしくはない、とオーナーは考えている。
日常の便利さを支えるだけでなく、災害時の「指定公共機関」でもあるコンビニはもはや社会に不可欠な公共財だ。一方で、「年中無休」「24時間営業」の経営スタイルは構造的な働き手不足の時代に持続可能なビジネスモデルといえるのか。
コンビニ経営に詳しい武蔵大学の土屋直樹教授は24時間営業をしない店舗が増えている背景には、働き手不足と採算性の問題があると指摘する。
「コンビニの業務は複雑化していますが、最低賃金ぎりぎりの時給で、接客のストレスもあるコンビニの仕事は敬遠されがちです。オーナーにとっては時短営業で人件費を圧縮し、利益率の低い時間帯は店を閉めることが経営効率アップにつながります」
日本では今、ほとんどの産業で働き手不足が顕在化しつつある。帝国データバンクが5月に発表した、24年度の業績見通しに関する調査では、業績の下振れ要因として「人手不足の深刻化」を挙げる企業の割合がトップ。実際、従業員の退職や採用難、人件費高騰などを原因とする「人手不足倒産」は23年度が過去最多の313件と前年度から倍増。24年上半期(1~6月)も182件発生し、過去最多を大幅に上回るペースで推移している。
今回アエラが実施したアンケートでも、さまざまな職場から悲鳴のような声が寄せられた。中でも看過できないのは、公的機関で働く人たちが機能不全寸前だと訴える現実だ。