「小学校の現場で教職員の人数が必要最低限しかいない」と嘆くのは東京都の男性教諭(43)。複数の職員が超過勤務で切り盛りしているが、「仕事を何とかこなすだけの無機質な職場になってしまう」と胸を痛める。「仕事の量に対して絶対的に人数が足りない」と訴える埼玉県の公務員の男性(45)は現場対応から管理職の業務まで一人で当たっているという。愛知県の保育士の女性(51)は「人手不足で職場がギスギスしている」と感じ、そのしわ寄せで子どもの命にかかわる保育事故が起きないかと懸念を深めている。栃木県の相談業務の女性(52)も「働いているみんなに余裕がなく、休みが取りづらい」と吐露。互いに面談し、つらさを吐き出し合うことで何とか業務を維持しているという。
一方、コロナ禍で大きな打撃を受けた飲食業界では、人口減少や働き手不足などを見据えた変化も起きている。
ファミレスも22時閉店
週末の午後9時。東京・渋谷の道玄坂はすれ違う人の肩と肩が触れ合うほどの混雑だった。この坂沿いにある全国チェーンのファミリーレストランに入店しようとすると、店員がちょうど入り口に「CLOSE」の立て札を掲示するところだった。ラストオーダーは午後9時だが、ドリンクコーナーのみの利用なら、と何とか入店させてもらった。
午後10時の閉店10分前から店内にBGMが流れる。音量が徐々に上がるが、席を立つ客はまばら。座席の半分の40人ぐらいはまだ店内にいる。閉店5分前で、まだドリンクコーナーで飲み物をおかわりする人もいた。変化が起きたのは閉店2分前。「閉店の時間がまいりました」というアナウンスとともに、ドビュッシーの「月の光」が流れる。すると、席を立つ客が相次ぎ、あっという間にレジ前に行列ができた。ただ、ほとんどがキャッシュレスで支払うこともあり、レジはスムーズに進み、10分後には店内に一人も客は残っていなかった。閉店の1時間前にオーダーストップした厨房では、店員が片づけをほぼ終えた様子で談笑していた。