せやま:そんなふうに読んでくださったんですね。
──子どもたちのキャラクターは、計算して書き分けたんですか。
せやま:キャラクターが重ならないようにとは思いましたが、そこまで綿密に計算はしていません。そのシーンを思い浮かべながら書くので、自分のなかでわきあがってきたキャラクターを書いているという感じですね。
潮井:5歳の子がおねしょをしちゃったりとか、一人ひとり違うけれど、なにかしらエラーが出ているというところに、それぐらい子どもは親の影響を受けるんだということを思い返しました。
親の精神状態は子どもにダイレクトに影響するから、なるべく整った状態でいたいけど、環境がそうさせてくれない時もある。(編注:潮井さんは今年のはじめに第一子を出産、子育て中)「うわー、難しいな、人生!」と思います。
せやま:ふふふ。
潮井:整った状態がいいことなんてわかりきっているのに、いろんな理由があって解決できないもどかしさをどうクリアしていくかというのが、『クリキャベ』では丁寧に描かれていたなと思います。
せやま:潮井さんは、家事は?
潮井:あ、もう全然です(笑)。全然しないし、適当です。だから、『クリキャベ』に出てくる人たちは、みんな真面目に丁寧に家事をしていて、えらいなあと思って。この生きづらさみたいなものは、私にはないなあと思いながら。しないならしないでいいやみたいなタイプなので。
せやま:それによって追い込まれたりはしないんですね。
潮井:まったくしないです。
せやま:それはうらやましい(笑)。
潮井:0を1にする作業は好きなので、料理は好きなんですけど、食器を洗うとか洗濯物をたたむとか、何かを0に戻す作業が叫びたくなるぐらい苦手で。子どもが生まれたからちゃんとしなきゃと思ったまま、もう4カ月になってしまいました(笑)。
書くことでしか見つけられないものに、書くことで出会う
──おふたりに質問ですが、どちらの作品も、なるべく人を傷つけずに伝えたいという配慮があると感じました。執筆する時にそういうことを意識しましたか。