「コンプレックスは成長ポイント」「完璧ではない人に人は集まる」。そう唱えるのは、渋谷109のカリスマ店員から有名週刊誌記者に転身した山田千穂さんだ。コンプレックスがあるから成長できると断言する山田さんが、初の著書『ずるい聞き方』でも紹介した、コンプレックスとの向き合い方や仕事で大切なのは「完璧」ではない理由を、一部抜粋・再編集してお届けする。
* * *
コンプレックスは成長ポイント
誰にでもコンプレックスはあります。つい隠しておきたくなりますが、辛い経験をしたことで人の痛みがわかるようになった人がいるように、自分のイヤなところを人に伝えてみたり向き合うことが、成長につながることもあります。
私も、小学5年生のときに大怪我をして30針縫った脚の傷跡がコンプレックスで、その傷を隠す洋服しか着ていませんでした。109で働きはじめたときも、本社の女性上司に「脚の傷を隠せるデニムをはきたいです」と相談したのです。「どれ? 見せてみて」と、明るいバックヤードでまじまじと私の脚の傷を見たその上司はこう言いました。
「じっくり見ると確かに気にならなくはない。でもその傷だけじっと見るお客さんがいると思う? それよりも、着たい洋服をビシッと着こなせないほうが恥ずかしいと思う。傷は気にするところじゃないから」と。
その言葉で吹っ切れた私は、「傷を受け入れていこう!」と前を向くことができました。そして、「自分が着た服を誰よりも売る!」と決めてセンスと接客力を磨き続け、「千穂が着るとなんでも一番売れるよね」と言われるようになったのです。コンプレックスがあったからこそ、胸を張れる自分でありたいと自分を奮い立たせられました。
母子家庭で貧しく友だちも呼べないほどボロボロの家で育ったことも、人に触れられたくない過去。恥ずかしいコンプレックスでした。しかし、その状況から脱するため本を読み漁り、経営者に会いに行き、記者として働く中で聞き方を磨いたおかげで今があります。