
成田:営業にしても経営者にしても、会話で人を動かす仕事なのに、意外とみんな(会話のトレーニングは)やっていない。プロ野球選手が打撃練習をする時に録画しないわけがなくて、自身のフォームを分析して修正する。会話もそれと同じですよね。
国山:そうですね。誰でもどこでもできるし、俯瞰して自分がどう見えているかの解像度を上げることができる。そうすると誰と会っても常に、相手の表情を見たときに次の言葉がすぐに出てくるようになります。
成田:相手の視点に立つことが対話には大事な一方で、メディアでは何かと対立構造を作って議論させますよね。これはPIVOTでも同じですか。
国山:それぞれの立場を明確にして対立構造を作るのは、視聴者にとってわかりやすいし制作側としても作りやすいんですが、PIVOTではそうした作り方はあまりしませんね。ただ、自分の考え方を表明しなければ相互理解につながらないので「聞きにくいことをあえてあなたに聞きたいんです」というスタンスで議論をするようにしています。
成田:世代も性別も異なる中で対話するには相互理解は意識したい点ですね。相手が高齢者であれば、その人が生きてきた時代の価値観や文化を学ばなければ対話は続かない。互いの背景をオープンにして、共通の土台が見つかれば距離も縮められますよね。
国山:対話力は日常のどの場面においても重要なスキルです。日々、新たな出会いや環境の中で、好奇心を持ってインプットを増やし、内省を重ねることで自身の考えを深めることができれば、対話力を高められます。こうした発信がみなさんのキャリアアップにつながればいいなと思っています。
(構成/編集部・秦正理)
※AERA 2024年6月24日号より抜粋