3分割されたフクイラプトルが、運送会社のバンで東京から到着。大型作品は複数のパートに分割して制作する。フクイラプトルは移動展示の予定もあり、簡単に再分割・再組み立てできるよう工夫した(写真:山本倫子)

中3でブロックを個人輸入 貯めたお年玉で1万ピース

 レゴもお気に入りの遊びのひとつ。兄をまねて1歳からレゴ ブロックに触りはじめ、5歳のときには説明書通りつくるだけでは飽き足らなくなっていた。誕生日やクリスマスのプレゼントで少しずつブロックも増えていったが、種類にも数にも限りがある中で試行錯誤を繰り返した。このころの経験が今につながっていると三井は振り返る。

「レゴ ブロックで何かつくるのはパーツの組み合わせですが、それはつまり発想の組み合わせです。小学生が持っている普通のパーツだけで、基本的にはどんな形も表現できる。その引き出しを少しずつ増やしていけたのが今に生きています」

 初めて本格的な大型作品に取り組んだのは中学3年生のとき。ブロックを集めるため、黎明(れいめい)期だったインターネットを使い、海外の愛好家がパーツを取引するプラットフォームで個人輸入に挑戦した。プロビルダーとなった今、三井は必要なブロックを何個でも、工場から直接購入できる。ただ、一般向けには公式ルートのばら売りはなく、セットを買って必要なものを抜き出すか、パーツショップや取引サイトで購入する必要があった。

 売り手のオーストラリア人と英語のメールをやりとりし、貯(た)めていたお年玉を使って計1万ピース超を5万円で購入した。送料を抑えるために発送は船便で、支払いは国際現金書留で、など細かなやりとりをすべて自分でこなしていった。

 待ちに待ったブロックは太平洋を南から北へ、3カ月かけてやってきた。つくったのはアポロ計画で使われた「サターン・ロケット」。高さ約2メートル、発射台で天を仰ぐ様を表現した。もちろん、今振り返ると技術的にはまだ未熟だが、大型作品に挑み、つくり上げたことが大成功だった。

「ブロックを待っているときも、つくっている過程も本当に楽しくて、ワクワクしていました。完成した作品は写真を撮ってすぐに壊します。そうしないと、次がつくれないから。ただ、壊せばまたつくれる、それに次はもっといいものができるはずと思うから、抵抗はなかったんです」

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