鶏は皮つきで。サイドメニューでたんぱく質と脂質を補給【夕食】 鶏すき丼、しめさば、枝豆、しらす・トマト・アボカドのサラダ、ナッツ、白ワイン

「そのことが、肥満もないのに糖尿病を発症する日本人が多い一因ではないか」

 つまり、「食の欧米化が健康悪化を招く」のではなく、「糖質偏重」をいかに防ぐかが重要というわけだ。

 糖質が多い「スポーツドリンク」も要注意だ。高齢者の熱中症予防に推奨されるようになったこの10年。夏場に自宅で意識を失って搬送された高齢者の血糖値が異常に高いケースが頻発しているという。「室内でじっとしている場合、熱中症や脱水症状予防は水で十分です」(山田医師)

 食べる順序も重要だ。野菜を先に食べる「ベジファースト」は有名だが、山田医師は、肉や魚が先でもいいと唱える。大事なのは、米やパンを最後に食べる「カーボ(糖質)ラスト」。なぜなら、血糖値を上げるのは「糖質だけ」だからだ。糖質を後回しにしてたんぱく質や脂質を先に取れば、糖質が体内に入る頃には血糖値の上昇を抑制するホルモン「インクレチン」が作用し始める。ただし、インクレチンの分泌が始まるのは食べ始めてから20~30分後。丼物や麺類を食べる時は、良質な油分が豊富で、たんぱく質や食物繊維も含まれるナッツを一握り分、事前に食べておくのも有効という。

脂質制限は無意味

 とはいえ、健康診断の都度、医師や栄養士から口酸っぱく言われてきたのが、「脂っぽい食事は控えるように」という指導だった。いつ、どのような理由で「脂質はたくさん取るべき」に変わったのか。

 注意が必要なのは「血中のコレステロール濃度と食べるコレステロール量の違い」だ。山田医師は、こう指摘する。

「食べるコレステロール値を減らしても肝臓がつくり出す血中濃度は下がりません。基本的に血中のLDLコレステロール濃度は食べたものではなく、肝臓が合成して出したものが規定します。従って食事介入法はほぼ意味をなさないのです」

 食べる脂を控えることで改善されるLDLコレステロール値は臨床的には意味がないレベルだという。しかも、5万人規模で行われた海外の研究では、心臓病や脳卒中の発症に差はなかった。それどころか心臓病の既往がある人に限ると、かえって心臓病の死亡率が増えていた。脂質制限はLDLコレステロール値を下げる方法としては不適切でやるべきではない、と山田医師は断言する。

「この解析が行われた2017年以降は、脂質制限は無意味なだけでなく、人によっては危険性もある食事療法だと分かったのです」

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