また、食生活や生活習慣を改善する意欲が十分にある人は、健康食品を「毎日」あるいは「時々」使用している割合が5割近くにのぼった。
健康意識高いからこそ
サプリに対するポジティブなイメージと、健康を考えた時に、すぐに手を伸ばせる気楽さ。今回の紅麹サプリの被害は「健康意識の高い人」が陥りがちなリスクだったのではないだろうか。そこには、どんな消費者心理があるのだろう。
「仕事だけでなく食事や健康にまでタイパ(タイムパフォーマンス)が求められる時代です。健康志向の高まりと相まってサプリに頼りがちな人が増えたのは、効率社会の反映と言えるでしょう」
こう話すのは、北里大学北里研究所病院の山田悟副院長・糖尿病センター長だ。国が定める安全性や有効性に関する基準を満たした保健機能食品についての見解を尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「個人的には、トクホですら毒にならないことが保証されたおまじないと捉えています」
保健機能食品は「機能性表示食品」「栄養機能食品」「特定保健用食品(トクホ)」に分類される。このうち、国の審査が必要なのはトクホだけ。そのトクホですら経済振興策の側面が大きいというわけだ。
では、冒頭の男性のように、健康のために体質を改善する必要に迫られた場合、どうすればいいのだろうか。まず、食事について考えてみたい。
生活習慣病の代表格とされる糖尿病。山田医師は専門医の立場から緩やかな糖質制限「ロカボ」を提唱している。糖尿病発症の10年前から生じるとされる食後高血糖は眠気やだるさを伴いがちで、やがて免疫力の低下にもつながる。山田医師が最新著書で「糖質疲労」と名付けた、こうしたダメージを防ぐために有効なのが、「糖質を取る量を控える」「油(脂質)とたんぱくをしっかり食べて満腹になる」「食べる順番を意識する」という三つのポイントを押さえたロカボの食事法だ。
血糖値が急上昇しやすい朝食から紹介しよう。健康に良いと思われがちな「朝食にフルーツ」や「朝食に果汁100%ジュース」という習慣。これらは果物に糖質が多いためNGだ。